ふるさと納税を活用して人口が13年ぶりに増加した自治体【都城市】 | 前枚方市議会議員 木村亮太
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ふるさと納税を活用して人口が13年ぶりに増加した自治体【都城市】

ふるさと納税については、さまざまな意見があります。

地方に財源を移し、地域の産業振興や自治体の自主財源確保につながるという評価がある一方で、返礼品競争や自治体間の税収の偏りなどをめぐって議論もあります。

制度そのものについては、今後もさまざまな議論があってよいと思います。

その上で、現在ある制度を自治体がどう活用し、地域の将来につなげていくのか。

その一つの事例として非常に興味深いのが、宮崎県都城市です。

ふるさと納税で全国トップクラスの寄附を集める都城市

都城市は、「肉と焼酎」を前面に出した取り組みにより、ふるさと納税で全国トップクラスの寄附を集めてきました。

2022(令和4)年度には約195億9,300万円、2023(令和5)年度には約193億8,400万円を集め、いずれも全国1位となりました。その後も高い水準を維持し、2025(令和7)年度は216億4,600万円で全国3位となっています。

注目したいのは、単に「ふるさと納税をたくさん集めた」ということではありません。

そこで得た財源を、人口減少対策など将来への投資に回していることです。

都城市の2026(令和8)年度の予算を見ると、「移住定住の推進」に9億3,560万円を計上。資料上でも、この事業は「ふるさと納税活用事業」と明記されています。

内容は、移住応援給付金だけではありません。移住後の相談受付や雇用・就労支援まで含めて、移住から定住までを支援しています。

つまり、

ふるさと納税で外から財源を獲得する

その財源を移住・定住政策に投入する

新たな住民を呼び込み、地域を支える人を増やす

という循環をつくろうとしているわけです。

最大500万円の移住支援で移住者が急増

都城市が本格的な人口減少対策に乗り出したのは、2023(令和5)年度です。

全国の多くの自治体が人口減少に直面する中、都城市は「10年後の人口増加」を目標に掲げ、移住支援を大幅に強化しました。

特に注目されたのが「移住応援給付金」です。

当時は、一定の要件を満たせば、全国のほとんどの地域から移住する人を対象に、世帯構成などによって最大500万円を給付する制度を打ち出しました。

その結果、数字は大きく動きました。

都城市の移住相談窓口を通じた移住者数は、

2022(令和4)年度 435人
2023(令和5)年度 3,710人

と、一年間で約8.5倍に増加しました。

もちろん、「500万円を配れば人口が増える」という単純な話ではありません。

都城市では同時に、第1子からの保育料、中学生までの医療費、妊産婦健診費用という「3つの完全無料化」を進めるなど、子育て環境そのものの充実にも取り組みました。

さらに仕事探しや住まい、移住後の相談などにも取り組んでいます。

移住給付金という大きな「入口」をつくりながら、その後の暮らしまで含めた政策を組み合わせていることがポイントだと思います。

13年ぶりに人口が増加

そして、実際の人口動態にも変化が表れました。

2023(令和5)年度の都城市では、出生数と死亡数の差による「自然動態」は1,291人の減少でした。

一方で、転入者は9,140人、転出者は5,929人となり、社会動態は3,211人の増加

その結果、自然減を社会増が上回り、2024(令和6)年4月1日の推計人口は前年同月から1,920人増の15万9,474人となりました。

都城市にとって13年ぶりの人口増です。

一年度だけの数字をもって「人口減少問題を解決した」と評価することはできません。

実際、移住者数は2023年度の3,710人から、2024(令和6)年度には2,256人に減少しています。それでも、移住支援を本格化する前の2022年度の435人と比較すれば、依然として高い水準です。

さらに、2025(令和7)年国勢調査の速報値では、都城市の人口は16万340人。

前回調査からの人口減少率は0.18%にとどまり、国立社会保障・人口問題研究所の推計を大きく上回りました。市によると、宮崎県内26市町村の中でも人口減少率は最も小さくなっています。

少なくとも、人口減少のスピードを抑えるという点では、一定の成果が数字として表れていると言えるのではないでしょうか。

ふるさと納税を「何に使うか」も重要

ふるさと納税制度そのものについては、私自身、さまざまな議論がある制度だと思っています。

ただ、現行制度が存在する以上、自治体の立場からすれば、それを地域の将来のためにどう生かすかという視点も重要です。

都城市の取り組みで興味深いのは、

「ふるさと納税をたくさん集めました」で終わっていないことです。

外から獲得した財源を、移住・定住や子育て支援などに振り向ける。

それによって人を呼び込み、働く人や子育て世代を増やし、地域経済や将来の税収を支える住民を増やしていく。

これは、ふるさと納税という一時的な財源を、まちの持続可能性につながる投資へ変えていこうという発想とも言えます。

もちろん、移住した方がその後どれだけ定住するのか、給付金に投入した費用に対してどれだけの効果があったのかなど、中長期的な検証は必要です。

また、全国すべての自治体が都城市と同じ規模のふるさと納税を集められるわけでもありません。

それでも、

「財源をどう確保するのか」と「人口減少にどう対応するのか」を別々の問題として考えるのではなく、獲得した財源を人口戦略に再投資する。

都城市の取り組みは、その一つのモデルとして注目していきたいと思います。

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