なぜ保育所を民営化するのか。理由と現状。 | 前枚方市議会議員 木村亮太
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なぜ保育所を民営化するのか。理由と現状。

保育所の民営化ってどうなの?公立のままでいいのでは?運営法人が変わるのは不安なのですが・・・。

というお声を私もいただきます。

 

私はこれまでの枚方市の公立保育所の民営化については賛成してきました。

その理由を一言で言うと行政サイドの発想になっているかもしれませんが、まだまだ待機児童がいる中で限られた財源で多くの児童を受け入れるためです。

 

まだまだ待機児童がいるということについて

枚方市についても待機児童は国の定義ではゼロですが、未だに隠れ待機児童はいる状態ですので、さらなる待機児童対策は進めなければなりません。定員枠を増やせば保育所に入れたい人がさらに増えて、といういたちごっこなんじゃないかという説もありますがいずれにしても足りていません。

枚方市の2019年4月1日時点の待機児童はゼロです。が、潜在的な待機児童は281人です。

 

イニシャルコスト・増改築について

限られた財源で多くの児童を・・・については具体的には以下の通りです。

保育所の定員を増やすためには、新しい保育所を建てるか、増改築をするかです。

 

増改築については、民間か公立かによって、補助金の率が変化します。

  • 民間保育園が増改築して定員増する場合
    国が3分の2、市が12分の1、法人が4分の1
  • 民間保育園が改築だけで定員増しない場合
    国が2分の1、市が4分の1、法人が4分の1
  • 公立保育所を定員増して民営化の場合は
    国が3分の2、市が3分の1
  • 公立保育所を定員増しないで民営化の場合は
    国が2分の1、市が2分の1

 

公立保育所を公立保育所のまま、定員を増やしても増やさなくても補助金はありません。市だけのお金で増改築しなければなりません。

例えば、公立保育所を定員増して民営化する場合(市負担は3分の1)と

公立保育所を公立保育所のまま定員増をする場合(市負担は3分の3)とでは、市の負担が3倍違います。

 

全体の増改築にかかる費用はどちらも変わらないにしても市の財布だけで考えるとおのずと負担が少ない方を選びます。

 

 

ランニングコストについて

先ほどの増改築は単発のもので、こちらは毎年に係る経費です。ランニングコストについては以下の通りで、定員90人の保育所が民営化した場合、年間で一般財源ベースで約8400万円の差が出ます。

私立保育所は運営補助金という目的に即した補助金があり、一方で公立保育所の場合は特定の運営補助金という形ではなく、交付税の中に算入されています。

 

この差は特定財源での差ですので、本来は交付税がどれだけ入っているかを調べて比較しなければなりません。しかし、交付税について、枚方市は全体で約120億円くらいですが、個別に保育所の分が●億円、というふうにはなっておりません。

 

 

 

民営化すると保護者負担はどうなるの、子どもの環境はどうなるの?

負担は増えるの?
私立独自の追加などあるの?

ということも気になると思います。

 

→新しく負担が発生する場合には保護者と話をの上決めていると伺っています。

 

これまでの枚方市立の保育所で民営化した保育所は7園ありますが、負担が増えたというところはありません。

※宇山、さだ、小倉、宮之阪、中宮、北牧野、走谷

ただし、民営化に合わせて完全給食を実施しますので、それに対する実費負担はあります。

金額は月1000円~1500円程度です。

 

その分、朝からわざわざご飯だけ作る必要はなくなります。この件については、公立保育所の保護者の方の負担になっているので改善を提案しております。

枚方市で保育所に子どもを通わせる保護者は、朝の忙しい時間にお昼ごはんを用意しなければならない?それも、3歳になった時から?

 

また、公立だから保育士が多い、私立だから保育士が少ない、ということはなく、0歳時なら3人に1人、1歳時なら6人に1人など年齢ごとの配置基準に応じた職員配置になっております。

 

 

 

 

まとめ

ということで、限られた財源の中で待機児童を解消していくためには、
定員増や建物改修に当たる費用の面、また、運営経費の面からも、民間保育園の方が少ない費用で可能ですので、自治体としては民間保育園の道を取っています。

民営化が素晴らしい!というよりは予算的に有利なので必然的にそうならざるを得ません。消極的に聞こえるかもしれませんが、このように考えております。

 

今通っている子はどうなるの?についてはしっかり対応もする必要があります。

 

私自身の考えをまとめるためでもありますが、保護者の方々や市民の方でご覧になっていただいてわかりにくい点や疑問点などあればお気軽におっしゃってください。

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枚方市議会議員
木村 亮太
民間企業を経て2011年より枚方市議会議員。政治スタンスは未来に責任を持った政治。主な政策は行財政改革、人事給与制度改革、教育子育ての充実、持続可能な社会保障制度改革、ICTを活用したまちづくり。
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