学校司書の配置と電子書籍、宅配サービスなど。(枚方市立図書館第4次グランドビジョンについて)
教育子育て委員協議会での発言です。
枚方市立第4次図書館グランドビジョンの取り組みについてと私の発言です。
インターン生の小川さんにまとめてもらいました。
概要
枚方市立図書館第3次グランドビジョンが、今年度、計画の最終年度を迎えるのにあたり、次期のビジョンの策定を行いました。
今回の第4次ビジョンでは、第3次に基づく図書館運営の成果や課題を踏まえるとともに、コロナ禍以後の新たな生活様式に対応した図書館サービスの展開、学校教育とのさらなる連携など、新たな枚方市立図書館の方向性を示して参ります。
市立図書館のあるべき姿
- 図書館は、知の源泉となる図書館資料を収集・保存し、広く市民に提供して、その教養、調査研究、余暇活動などに役立てる社会教育機関である。
- 図書館は、市民のニーズに応えて資料や情報を提供する地域の情報拠点である。
※第2次グランドビジョン策定時に定めたもの
第3次グランドビジョンの主な成果と課題
運営方針1 基礎的な図書館サービスの充実
成果:滞在しやすい環境整備、レファレンスサービスの充実
課題:ICTを活用したサービスの実施
※レファレンスサービス・・・利用者が必要とする情報・資料の求めに応じ、職員がそれを支援するサービス
運営方針2 家庭生活及び職業上の課題や地域課題の解決のための各種支援機能の強化
成果:ビブリオバトルの実施や成人向け講座の実施
課題:地域活動への支援が課題
※ビブリオバトル・・・参加者が本を紹介しあい、最も読みたいと思うチャンプ本を投票で決めるイベント
運営方式3 教育的役割を重視した取り組みの推進
成果:学校図書館蔵書データベース化と市立図書館コンピューターシステムとのオンライン化
全中学校区へ学校司書を配置し、学校図書館環境整備や読書、調べ学習の支援を実施
課題:保護者対象の講座の開催
運営方針4 魅力的かつ効果的・効率的な運営体制の構築
成果:全分館への指定管理者制度導入の実施
課題:専門的スタッフの計画的な配置が課題
第4次グランドビジョンの基本的な方向性
(1)コロナ禍以後の新たな生活様式に対応した図書館サービスの展開
非来館・非接触型サービスとしての電子書籍の導入や館内Wi-Fi環境の整備
(2)多様化する社会に対応した効果的・効率的な図書館運営のあり方について
魅力的な「枚方市駅前図書館機能」の検討、分室のあり方を検討
(3)課題解決型図書館としてのさらなるサービスの拡充
レファレンスサービスの蓄積、継続、eレファレンスサービスなどへの展開
(4)学校教育との連携の推進
学校図書館の活用に向けたさらなる支援と学校司書の役割についての検討
すべての児童生徒に配置するタブレットを活用した学校図書館支援(市立図書館の電子書籍も活用)
(5)障害者サービス
視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)施行に伴うサービスへの
取り組み
実施時期等
令和2年 8月 教育子育て委員協議会に「第4次グランドビジョン策定について」報告
9月 社会教育委員会議に「第4次グランドビジョン」諮問
11月 社会教育委員会議により「第4次グランドビジョン」答申
11月 教育子育て委員協議会に「第4次グランドビジョン」(素案)について報告
12月 パブリックコメントの実施
令和3年 2月 教育子育て委員協議会に「第4次グランドビジョン」(案)の策定及び推進について報告
3月 「第4次グランドビジョン」の策定
質疑の趣旨
質疑を2つしました。1つ目は学校司書についてです。2つ目はコロナ禍における図書館のあり方についてです。
1つ目については、学校司書を中学校に配置することで、本の貸し出し冊数などが増えているということです。学力等の向上につながっているかの検証をお願いしたのと、効果があるのであれば小学校への配置も考えていくべきだという趣旨です。
今は中学校区に1人という配置で、小学校は1つの中学校区に2-5個ありますので、司書ひとりで小中学校併せると3-6校に1人となっており、場合によっては週1程度しか学校に行けないことになります。
2つ目については、コロナ禍の中で直接図書館に行かない人の為にも電子書籍の拡充や宅配サービスの拡充について意見をしました。
実は枚方市の図書館が宅配サービスをやっているというのはご存知でしょうか?配送料は借りる方の実費負担ですのでほぼ利用者がいないということです。
質疑の内容
(仮)図書館司書に関して
【質問】
第4次グランドビジョンの基本的な方向性の中で「学校教育との連携の推進」があります。平成26年度から徐々に学校図書館へ司書の配置を行っていますが、その効果についてどのようなものがあるのかお聞きします。
【答弁】
学校司書の配置に伴う効果といたしましては、公立図書館の閲覧システムや十進分類法による書架配置を学校図書館に導入し、本の検索機能が向上したことに加え、教員との連携や子どもたちへの働きかけを行ったことから、児童・生徒の個人貸出冊数、調べ学習用図書の市立図書館のから学校への貸出冊数、学校図書館を活用した調べ学習等の授業時間数などが向上しております。
こうしたことから、子どもたちの本に親しむ機会を増やせたものと考えております。
児童の個人貸出冊数 H29:427,081冊→H30:461,347冊
生徒の個人貸出冊数 H29:35,886冊→H30:39,402冊
調べ学習用団体貸出 H29:128件 5,375冊→H30:307件 10,559冊
学校図書館活用授業時間数 H29:751時間→H30:1,221時間
【要望意見】
司書が増えて、貸出冊数などの増加という点では司書を中学校に配置している効果というものが一定あると思います。
ただ、本は読む量が増えることで求める効果があると思います。
本を読んでいきなり学力向上というわけにはいきませんが、読書は知識を得るための基本となるものだと思います。今後読書量が増えたことで、学力にどれだけ影響があるのか、またいわゆるテストの点数だけじゃなくて人間力などへの効果も検証して行っていただきたいと思います。
現在、学校司書が全中学校区に配置され、その中学校区の小学校も担当しているということで、場所によりますが、1人で2校から5校を担当しています。学校司書の負担は、大きいのではないでしょうか。学校司書配置により、一定の効果も得られているとのことです。
これまで図書館分室に指定管理を入れていくときに、その人材を生かして、学校司書の配置をしてこられました。今後学校司書の充実を図る観点から、分室の人員配置についても検討していく必要があるのではと、意見しておきます。
コロナ禍
【質問】
5.第4次グランドビジョンの」基本的な方向性(1)コロナ禍以後の新たな生活様式に対応した図書館サービスの展開として、電子書籍の導入やWi-Fi環境の整備をあげておられます。電子書籍については、図書館が閉まっていても、自宅で本が借りられ、コロナ後の新たな生活様式にマッチしている有効な手段であると思います。しかし、図書館で貸し出すには、著作権法上、図書館で貸し出せる処理が必要であると思います。それについては、現在のところ難点ぐらいのものがあるのか、お聞きします。
【答弁】
一般で購入できる点数として100万冊や600万冊を取り扱う会社がある一方、図書館で貸し出せる電子書籍の点数は、公共図書館において最大において最大のシェアを持つ会社で約7〜8万冊になります。
【質問】
現在のコロナ禍において、外に出ることに不安を感じられている方がおられ、子育て中の方からのご相談を受けました。こちらは通常の紙の本になりますが、図書館から郵送などで送ってもらうことはできないかというものでした。市立図書館には図書の宅配サービスがあり運用されていますが、現在の利用状況をお聞かせください。
【答弁】
図書館への来館が障害等により困難であることや、来館せずに図書の貸出・返却サービスを希望する市民の方が利用できるように平成26年7月から開始しました。送料につきましては、重度の障害者(身体障害者手帳の等級が1級または2級等)、重度の要介護状態(要介護度が4または5)の場合等は、市が負担しており、それ以外の一般の方につきましては、有料となっております。次に、直近3年間の利用実績につきましては平成30年度472冊、平成29年度230冊、平成28年度269冊で、そのうち一般利用の実績はほとんどございません。
【意見要望】
図書館で貸し出せるようになっている電子書籍の点数は、まだこれからのようですが、まずは導入に向けての検討を進めていただきたいと思います。
また、宅配サービスについては実質的には障害をお持ちの方のみが利用している状態になっていますが、どのくらいの金額負担なら障害の無い方も利用されるのか、PRは行き届いているのかなど、また、受取場所を駅やコンビニなどでするようなことはできないのか、など、調査やサービスの周知に取り組んでいただきたいと思います。