非識別加工情報提供制度について@原本
非識別加工情報提供制度について、概要をインターン生に伝え、詳細調べてまとめてもらいました。
ビッグデータの活用なども言われ始めている今、伸びしろのある分野なのではと思っています。課題もたくさんありますし、一周回って最近ビッグデータって言葉は使われなくなってきているような気もしますが、もうバズワードのフェーズは終わり、世間的にも馴染んだということなのでしょう。
非識別加工情報提供制度
そもそも、非識別加工情報って・・・?
非識別加工情報とは、特定の個人を識別することができないように個人情報を加工した情報。もちろん、当該する個人情報が復元できないようになっています。
【出典】鳥取県公式HP
加工する情報は、
- 特定の個人を識別できる記述(氏名など)
- 全ての個人識別符号
- 個人情報と他の情報を結びつける符号
- 特異な記述(年齢116歳など)
などの個人を特定できる可能性がある情報です。
▷非識別加工情報提供制度
都道府県や市町村が所有している個人情報などを、この非識別加工情報に変換し、
民間事業者に提供する制度を『非識別加工情報提供制度』といいます。
メリット・デメリットと利活用例
▷メリット
- 一般に広く公開情報とはなっていない情報を入手できる
- 国や自治体から新鮮で正確なデータを入手できる
- 個人に対する情報の種類や蓄積量が多い
▷デメリット
- 自分の欲しいデータが必ずしも非識別加工情報とは限らない
- 複雑な手続きやそのための手数料が必要
▷利活用例
- 日本に出入国する外国人の情報を分析
- 古物商、風営法許可等の状況を分析
- 国家資格合格者の情報を分析
- 住民データを分析
実際に取り組んでいる自治体は・・・?
千葉県の市川市や福岡県、そのほかにも和歌山県や鳥取県
最近では東京都でも取り組みが進められているそうです。¹
東京都では医療や介護、インフラ、建築物、交通機関などに関する情報の取引を想定しているが、今までの提供事例は主に医療・介護の分野の情報ばかりでした。
▷千葉県・市川市の提供事例
福祉関連の事業者向けに要介護者の心身の状態や介護度の推移を示すビッグデータを提供し、ケアプランの作成支援システムの開発を促すことなどが想定される。事業者側には1回の提供につき2万1千円とデータ人数分(1人1円)の料金の支払いを求める。
▷福岡県・福岡市の提供事例
医療や介護、予防(健診)などに関するデータの分析や、地域に向けた情報提供などを行う情報通信基盤「福岡市地域包括ケア情報プラットフォーム」の構築を開始。これにより少子高齢社会に備えた地域ニーズや課題の見える化に取り組む。
現状課題とこれから
現状課題
17年度に施行されたこの制度はまだまだ手探りな状態です。
全国で初めてこの制度に取り組んだ市川市(千葉県)は19年度に3社との契約を想定していましたが、実際には1社のみでした。
このことから、次の課題が挙げられます。
- 非識別加工にコストがかかりすぎる
┗企業側の負担額が超過した場合は全て市で負担しています。このことから、3社分の予算100万円をたったの一社で使い切ってしまいました、、、
- 提供できるデータに限りがある
┗必ずしも企業が欲しいデータを市が保有しているとは限りません。そもそも提案の時点でニーズが合わず断念することも、、、
【出典】日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56282320S0A300C2L83000/
これから
課題はまだまだありますが、この情報をうまく活用できれば商品企画やサービス開発、市場調査など様々な分野で役立てることが可能です。
企業向けのアンケート調査によると、
2017年から徐々に活用を前向きに検討している企業が増えているものの、過半数の企業は「活用する予定はない」と答えています。
デジタル技術による地域の課題解決や行政改革のためにも、制度を整える必要があると考えます。
【出典】
¹各自治体での取り組みについて
東京都での取り組み https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55905510R20C20A2AM1000/ (日本経済新聞)
和歌山県での取り組み https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/010100/kojin/kjhome/hisikibetu.html (和歌山県HP)
鳥取県での取り組み https://www.pref.tottori.lg.jp/267162.htm (鳥取県HP)
福岡市での取り組み https://cgs-online.hitachi.co.jp/contents/372_2.html (日立 自治体ICT 応援サイト)