貸した約1.3億円のうち9000万円が10年以上返済期日が過ぎているって・・。
ただいま議会中です。
今日は議案審議でしたので、私も1件質疑をいたしました。
テーマは債権の放棄について。
6つの債権、1620件、26,098,817円を放棄したという報告がありました。
債権とは、本来、市に払ってもらうお金や返してもらうお金です。未納になっている水道料金などがあげられます。
この約2600万円はまわりまわって市民の負担です。ただ、いつまでも回収不能の債権を持っていても仕方がないので、市としても債権回収条例をつくって整理してきましたので、今回の債権放棄はやむを得ないと思っています。
しかし、今後同じように債権放棄をしないためには、債権を作らない、またすぐに債権を回収する体制が必要という観点から質疑をしています。
今回放棄した債権は約2600万円ですが、潜在的に放棄する可能性がある債権がまだ存在しており、その規模がどれくらいかの確認と、潜在的な債権が発生している『くらしの資金貸付金』についてはあり方についても意見をしております。
くらしの資金貸付金とは
低所得で一時的に生活が経済的に困窮している人に枚方市がお金を貸しています。
最大20万円。13万円以下は連帯保証人が不要です。
貸付の条件としては
- 貸付により、自立更生ができること。
- 返済能力があること。(所得による制限があります。)
- 枚方市に3か月以上居住(住民基本台帳に記載)していること。
- 現に生活資金の貸付を受けておらず、また、連帯保証人になっていない者であること
- 最低生活の維持または高額療養費の支払い目的で使用されるものであること。
となっているのですが、実際は貸付件数が1,380件で貸付累計額は1億2,875万8,552円。
このうち、最終の返済期日から起算して民法に規定される「消滅時効」の期間である10年を過ぎているものは974件で、貸付累計額は9,082万3,758円。
ブログタイトルにしている通り、貸付総額の約1.3億円のうち10年以上返済期日が過ぎているものが9000万円です。10年以上前のお金って返ってこないですよね・・・。返済能力がある人に貸しているようなのですが・・・。
ちなみに、「生活資金の貸付を受けておらず」という条件はあるものの、あくまでも自己申告で書類に書けばいいだけであり、実際に与信調査で確認しているわけではありません。
要するにお金を借りてても書類に借りていないと書けば借りていないことになります。
ということで?上記の通り、貸したお金が全然返ってきません。
もちろん経済的に厳しい方々への貸付なので、ある程度返済率が悪くなるのもわかるのですが、7割くらいが10年経っても返済されてない異常ですよね。
民間なら絶対に終わっている制度ですね。だからこそ公共がやっているという見方もあるのですが、それであれば、ある意味最初から「貸付」ではなく「給付」にしてしまえばいですよね。貸付となると、返してもらう事が前提ですので、市の職員が頑張って回収業務にあたります。結果としてはほとんど返ってこないにもかかわらず・・・。
私としては、平成27年に生活困窮自立支援制度が設立され、この制度以外にも生活困窮者に対してのセーフティネットが以前より整ってきております。この事業についてはあり方を見直したほうがいいと考えております。
※ちなみに、同じように社会福祉協議会でも貸付をやっております。
このくらしの資金貸付金については、2年前の議会でも指摘をしております。
今回放棄した債権の詳細
それぞれ債権放棄の理由、件数、金額の順番になっています。
くらしの資金貸付金
破産免責:83件:7,913,613円
知的障害者措置費負担
生活困窮:3件:710,000円
介護給付費等の不正請求に係る返還金及び加算金
破産免責:1件:1,922,731円
私債権の時効期間満了(10年):1件:4,268,478円
合計:2件:6,191,209円
水道料金
破産免責:50件:945,490円
私債権の時効期間満了(10年):1,274件:7,337,258円
合計:1,324件:8,282,748円
修繕工事収益(その他雑収益含む)
私債権の時効期間満了(10年):19件:223,499円
病院の個人未収金(診療報酬)
破産免責:3件:232,915円
私債権の時効期間満了(10年):186件:2,544,833円
合計:189件:2,777,748円
質疑の要旨
ただいま上程されました報告第16号債権の放棄について伺います。6つの債権のうち、2種類の債権について伺います。
くらしの資金貸付金、と、介護給付費等の不正請求にかかる返還金及び加算金の2つの債権についてですが、まずは介護給付費等の不正請求にかかる返還金及び加算金についてです。
(質問は並列でやっておりますが、わかりやすいように分けております。)
介護給付費等の不正請求にかかる返還金及び加算金について
【質問】
介護給付費等の不正請求にかかる返還金及び加算金の2件目、条例第19条第6号事由(私債権の時効期間満了)について、詳細をお聞きしていると、これは事業者の不正請求に係る債権を督促したにもかかわらず、結局のところ消息が不明で、時効が来て、放棄したとのことですが、今後、仮に、こういう事案があった場合に、同じように債権放棄となってしまうのでしょうか。
【答弁】
この事案は平成16年に発生したものでありますが、介護給付費等の不正請求にかかる返還金及び加算金の徴収につきましては、保険者が確実に事業者の不正請求に係る債権を回収できるようにするため、平成21年5月の介護保険法改正により、私債権から強制徴収公債権へと変更されました。この改正に伴い調査権限の付与や滞納処分により強制徴収ができるようになったことから、同様の事案が生じた場合については、関係部署と連携を図りながら財産調査や差押え等により、債権の回収強化に努めてまいります。
くらしの資金貸付金について
【質問】
「くらしの資金」は、低所得の一時的生活困窮世帯の対しての貸付制度として昭和46年から始まったということですが、この制度については過去にも議会で質問があり、私も平成29年6月定例月議会の時に債権の状況をお聞きしたところですが、改めて直近の貸付状況をお聞きします。
合わせて、
今回は条例19条第2号の破産免責事由に該当する債権を放棄したということです。
他の債権、例えば先ほどの介護給付等の不正請求に係るものは、破産事由である2号と、時効が満了した6号事由のものとがありますが、このくらしの資金については今回報告があるのは2号事由だけです。
この貸付金は私債権なので、古くから返済が滞っているものには民法で言うところの「消滅時効」の期間にも当てはまるものもあるのではないかと思います。
例えば、直近の貸付金の中に返済期日から民法の消滅時効の期間である10年を過ぎているものはどのくらいあるのか、そして、これらの債権に対して現在どのように対応しているのか、お聞きします。
【答弁】
令和元年7月末現在における状況としましては、貸付件数が1,380件で貸付累計額は1億2,875万8,552円です。
このうち、最終の返済期日から起算して民法に規定される「消滅時効」の期間である10年を過ぎているものは974件で、貸付累計額は9,082万3,758円となっており、これらは、債務者が市外転出や度重なる転居などで長らく音信が途絶え、返済への意思確認がきていない状況にあるものが多いため、現在、居所調査なども含めて債務者に返済に対する働きかけを行っているところです。
まとめの意見要望。
これまで債権回収条例を制定して、債権放棄に向けて専門家の意見も含めて整理をしてきていたと認識しています。そして放棄すべき債権を順次放棄していくという点で、今回の放棄はやむを得ない部分があると思います。しかし、債権を放棄するということは市民や利用者の負担になりますので、不公平が生じないようにできる限り債権放棄をしないようにしていただきたい。そのためには、債権をそもそも発生しないようにすること、債権が発生しても督促・回収業務を頑張っていただくことが大事です。
債権が発生させないという点では、介護保険の不正請求については、今後、法人指導を強化して頂く事を要望しておきます。
そして、くらしの資金については
最終の返済期日から民法の消滅時効である10年を過ぎているものが、全体で1.3億円かしていて、そのうち9000万円となっています。1.3億円のうち9000万円が返済期日から10年以上経っているとのことです。
この9000万円についても返済の働きかけをしているということですが、おそらく返済の見込みは少ないので、今後、条例の第19条第6号にある「私債権の時効期間満了」に該当して債権を放棄する可能性が非常に高いと思います。
貸付審査と債権回収の事務を担当者が同時に行うこと、かつ、福祉を担当している部署が回収業務を行うことなど、組織体制的に厳しいのではないかと思います。経済的に厳しい方々であるため返済が厳しいのも一定理解はいたしますが、貸したものは返していただくのが当然ではあると思います。また、督促・回収にかかる職員の労力などを考えると、非効率的でもあります。
このように最終的に今回約800万、そして今後も放棄をされる可能性が高いわけですので、わずかな金額であっても行政が貸金業をするべきなのかはしっかりと検討していただきたい。
一方でくらしの資金は社会的弱者への自立を促すためのセーフティネットの機能を果たしているのも承知していますのでセーフティネットが必要だという部分は否定しません。平成27年度からは「生活困窮者自立支援制度」も実施されるなど、福祉を取り巻く環境も大きく変わってきています。債権を放棄しない、そのためにはそもそも債権を発生させない、という観点から改めて「くらしの資金貸付制度」のあり方についても、ぜひ検討していただきたいと思います。