小学生の頃の様々な体験がその後の自尊感情や外向性などにつながるようです。
とても興味深い報告書であり、今後の施策を考えていくうえで重要ことが書かれていましたので共有します。
(とある方のFBで紹介されていて見てみました)
文科省の報告書です。
参照元はコチラです。
令和2年度青少年の体験活動に関する調査研究結果報告 ~21世紀出生児縦断調査を活用した体験活動の効果等分析結果について~
様々な体験が自尊感情や外向性、精神的な回復力を養うことに。
簡単に言うと、タイトル通りですが、小学校の時に様々な体験をすることが非認知能力的な能力の向上につながるという話です。
(1)小学生の頃に体験活動(自然体験、社会体験、文化的体験)や読書、お手伝いを多くしていた子供は、その後、高校生の時に自尊感情(自分に対して肯定的、自分に満足しているなど)や外向性(自分のことを活発だと思う)、精神的な回復力(新しいことに興味を持つ、自分の感情を調整する、将来に対して前向きなど)といった項目の得点が高くなる傾向
(2)小学生の頃に異年齢(年上・年下)の人と遊んだり、自然の場所や空き地・路地などで遊んだりした経験のある高校生も上記と同様の傾向
(3)経験した内容(体験活動や読書、遊び、お手伝い)によって影響が見られる意識や時期が異なることから、一つの経験だけでなく、多様な経験をすることが必要
(4)小学校の時に体験活動などをよくしていると、家庭の環境に関わらず、高校生の時に自尊感情や外向性、精神的な回復力といった項目の得点が高くなる傾向
これまで直感的に捉えられてきた「体験活動は、子どもの成長にとって大切な要素だ」という感覚を、確かな分析方法により裏付けることができた
家庭ではお手伝いや読書の習慣を身に付けるようにする、地域では放課後などに地域の大人と遊びを通じて交流する機会を設ける、学校では社会に開かれた教育課程の実現を目指して地域と連携しつつ体験活動の充実を図るなど、地域・学校・家庭が協働し、「多様な体験を土台とした子どもの成長を支える環境づくり」を進めていくことが、よりよい社会創りにつながる
経済格差が体験格差?
●父母の収入や学歴の水準が相対的に高い方が、子供が様々な体験をしているという関係
→収入が低い家庭の方が体験が少ないという状況。
しかしながら、
以下のように、収入が低い家庭があっても、体験をしたことが今後により良い効果につながっていくという結果も出ています。↓
●収入の水準が相対的に低い家庭の子供であっても、体験をする機会が比較的多くあった子供はその後の 意識等の水準が高い傾向
ということで、
●父母の収入や学歴の水準等により「体験格差」があることが懸念されるところであるが、機会に恵まれない子供たちに体験の機会を提供することが重要であり、また、効果的
そういう意味でも放課後子ども教室を全校に早く実施し所得に関係なく様々な体験を積むことができるようにしていければと思います。
枚方市の野外活動センターももっと活用しなければですね。せっかく道路(進入路)も整備されたことですし。
野外活動センターのHPもリニューアルされました。→コチラ
10月8日追記
EBPMで著名な中室教授がこの調査についてコメントを出しておられたので追記しておきます。
最近、教育業界で話題の文科省の報告書。特にマズいのは、因果関係を明らかにするようなデザインの分析ではないにもかかわらず、「体験が子どもたちの成長を確かなものにする」などという誇大広告ともいえるようなまとめ方をしてしまっているところだ。https://t.co/v5jYWShq8v
— 中室牧子 (@makiko_nakamuro) October 8, 2021