一時預かりを利用したい人はいても利用されない件について、論文より。 | 前枚方市議会議員 木村亮太
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一時預かりを利用したい人はいても利用されない件について、論文より。

一時預かりはなぜあまり使われていないのか?シリーズです。

 

関連記事です。

 

色々と調査しているうちに論文にたどり着きました。

いっぱいあったのですが、3つの論文から傾向を抜粋しています。

『保育所における一時保育を利用した母親の意識調査』から

出典はコチラです。

 

一時預かり利用者の親は精神的なゆとりが持てるようになったなどの好ましい状況

(該当するものに3つ選択)

  • 「安心して仕事(用事)ができるようになった」66.7%
  • 「精神的な『ゆとり』が持てるようになった」63.6%
  • 「担当の保育者や他の母親と子育てについて話す機会ができた」27.3%
  • 「子どもを預けるときはつらいが,子どもにとって必要なことと思
    えるようになった」27.3%
  • 「子どもを預けるときはつらいが,自分にとって必要なことと思
    えるようになった」18.2%
  • 「子育ての楽しさが理解できるようになった」9.1%

「親の役目を果たしていないのではないかという気持ちを持つことがある」と回答した者はいなかった

 

 

一時保育を利用しにくい状況とその理由

 

利用しにくい状況があった人は61%

理由の主なもの。

母親の葛藤

  • 子どもがかわいそう23.5%
  • 周りから子どもに対する愛情が薄いとか、自分勝手な母親からと思われないか。11.8%

周りの反応

  • 子どもがかわいそうといわれた9.1%
  • 周りから子どもに対する愛情が薄いとか、自分勝手な母親と言われた。9.1%

社会的条件

  • 近くに一時保育をしている保育所がなかった15.2%
  • 一時保育があることを知らなかった12.1%

 

自由記述はカテゴライズすると、

  • 実施園の不足42.9%
  • 支援の有効系38.1%(あって助かったという声)
  • 情報不足9.5%(知らなかったなど)
  • 多様なサービスへの希望9.5%

 

詳細見てみると、支援の有効性や多様なサービスへの希望のところにも、「もっと実施園が増えれば」という記述もありました。

 

013-24matsuoka.pdf (ritsumeihuman.com)

 

 

『なぜ日本の乳幼児子育て期の保護者はリフレッシュ目的で一時預かり事業を利用しにくいのか?』から

出典はコチラから。

  1. 手続き上の困難
  2. 子育てをめぐるアンコンシャスバイアス
  3. 女性(母親)が自ら抱く育児呪縛

この3点ということです。

 

1.手続き上の困難

 

保育所を探す⇒各園に連絡する⇒事前登録&申込

というハードル。

 

  • 各園の書類が違う
  • 手続きの方法が書いていない。
  • おむつ、布団、着替え等用意が大変。持ち物に全部名前を記載しないといけない。
  • 申し込みも1か月前とかに。
  • 実施している園が少ない。※枚方市の場合公私あわせて54園のうち、14園です。

 

 

2.子育てをめぐるアンコンシャスバイアス

子育ては親がした方がいい、一時預かりは子供がかわいそうだと言った無意識の偏見。

 

3.女性(母親)自らが抱く育児呪縛

1つ上の子育てをめぐるアンコンシャスバイアスとも似ておりますが、

「子どもがかわいそう」

「子どもに悪い」

「周りの人から母親が子育てに専念するものだと言われた」

「子どもを預けてまで、仕事、用事、リフレッシュをしたいとは思わなかった」

 

 

 

『「子育ての社会化」施策としての一時保育の利用にみる母親規範意識の複層性』から

出典はコチラ

 

利用する必要はあったが利用しなかった(N=46)の理由

利用したかったけど利用できなかった人にとっては以下の理由です。

 

  • 預け先の情報が少なかった。50%
  • 子どもを預けるのにためらいがあった43.5%
  • 手続きが面倒・大変だった30.4%
  • 保育料が高かった21.7%
  • 都合の良い場所に預け先がなかった21.7%
  • 定員に空きがなかった17.4%
  • 保育内容に不安8.7%
  • 家族が反対6.5%
  • 子どもが嫌がった4.3%

 

一時保育を利用した方の意見(N=72~77)

利用による変化

  • 以前より子どもを預けることへの抵抗感が減った64.9%
  • 精神的なゆとりが増えた62.5%
  • 以前より安心して仕事や用事ができるようになった61.6%
  • 時間的なゆとりが増えた58.3%
  • 体力的なゆとりが増えた51.4%

 

利用するうえで大変なこと

  • 保育料等、金銭的な負担が大きい67.5%
  • 子どももの体調や精神面への気づかいが大変66.2%
  • 預け先等の情報収集が大変61.0%
  • 自分自身の心の準備や思い切りが必要40.3%
  • 家族の理解や協力を得ることが大変23.4%
  • 利用することに対する周囲の目が気になる13.0%

 

まとめ

 

 

どの論文を見ても、一時預かりを利用することで親にとってもプラスの側面(リフレッシュ、体力的、精神的な負担軽減)はあるのですが、利用しづらいという状況にあります。

 

その理由としては、

手続き上の困難、近くに施設がない、一時預かりを利用することの罪悪感、子育ては親がしないといけないという意識、というところです。

 

施設の増加については費用的な負担や保育所のご協力が必要でなかなかすぐに対応するのは困難ですが、罪悪感や精神的なハードルは費用をかけずとも対応していけるかと思います。

 

また、手続きがわからない、困難という部分も何か考えられると思っております。

 

 

リフレッシュしたらいいと思いますので私の立場からもどういうやり方がいいか引き続き掘り下げていきます。特に今はコロナ禍のため、日常生活も厳しい状況で、普段よりストレスのたまる状況です。もちろん感染防止に努めながら。

 

ご意見ありましたらよろしくお願いいたします。

 

 

市民の方からももっと意見を聞いてみるといいと思いますし、市の職員の方も子育て中の方はたくさんいますので、まずはそういう方からも声を聴いて施策に反映させるだけでも違う気がするのですがいかがでしょうか。

 

男性管理職の方々にはなかなか理解されないのかもしれませんが。

 

 

関連記事です。

あわせてご覧いただけると嬉しいです。

 

子育てはリフレッシュできないという問題。

育児疲れからリフレッシュしたいのであれば一時預かりを利用すればいいのではと思うのですが、なかなか利用できない状態になっている件。

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