箕面市の教育の取り組みはやはりすごい、データ管理して一人一人に向き合っています。
今日は枚方市議会で決算特別委員会が開催されていますが、委員ではないためICTを活用した教育についてのセミナーに参加しておりました。
セミナー自体は1日開催していたのですが、他の予定との関係で午前中のみ話を聞きに行っておりました。
今回のセミナーの目的は箕面市の倉田市長の話を聞くことです。
箕面市の取り組みは何かと参考になることが多いです。
市長自らプレゼン。
「教育に投資をすることで子どもが増える。間違いなくまちに還ってくる。」
という理念のもとに、都市経営的視点からかなり前から教育に力を入れて、予算もかけて取り組んでいます。
結果、人口増加率も、子どもの増加率も大阪トップになっています。
もちろん、人口の増加には都市のイメージがいいことや、開発の余地のある土地がまだある、御堂筋線(北大阪急行)の延伸など他の要因もあるので、差し引いて考えたほうがいい部分もありますが、それでも素晴らしいことだと思います。
ちなみに、御堂筋線(北大阪急行)の延伸自体も、大阪府や地元国会議員の働きもあると思いますが、市長の働きも大きいのではないかと思います。
今回も参考になることが多々ありました。
枚方市でも導入できることを順次導入していきたいと考えています。
システム費用などバックグラウンドでコストはかかると思いますが、教職員の多忙化解消にもつながりますし、子どもたちの学力・体力の向上にもつながると考えています。
今関西で子どもを教育させたいと思うのは(枚方市以外では)箕面市と尼崎市ですね。
尼崎についてはエビデンスに基づいた教育政策に取り組んでいます。
→コチラ
箕面市は小中一貫教育を実施していたり、今回の内容であるICT教育が充実しています。
それ以外にも、今日の話の中で参考になったことも含めてこの記事をまとめておきます。
目次
- ICTで特筆すべき点
- 姉妹校とリアルタイムでつながっている。
- タブレットは小4-6は1人1台
- バックグラウンドで教育を支えている。
- 一人一人おってる。クラス替えしてもわかる。
- 教員の指導結果・適正も客観的に把握。
- 学校経営力を客観的に図る
- 学級崩壊の兆候も早期に把握
- 貧困対策も経年チェックをしつつ支援担当部署につなげる。
- ICT以外で特筆すべき点。
- 教育委員会の組織改革
- 当事者意識ある教育委員を公募
- 子どもの部署を一元化。
- 学校組織の改革
- ナベブタ型からピラミッド型へ
- 行政職員を学校現場に配置
ICTで特筆すべき点
姉妹校とリアルタイムでつながっている。
小中一貫校の学校の廊下にモニターが置いていて、そのモニターが箕面市の姉妹都市であるニュージーランドのハット市の学校と常にSkypeでつながっています。
日々、海外の人と放課後や休み時間に自然とコミュニケーションを取ることで英語や海外の人との抵抗感がなくなるとのこと。
市長も特におススメとのことです。
ヨーロッパやアメリカだと時差があってできないが、オセアニア地域であれば時差があまりないため、日本が昼間の時に向こうも昼間のため可能です。
枚方市もオーストラリアのローガン市が姉妹都市なので。やろうと思ったらできますね。
ただ、小中一貫校というのもポイントで、小学生だけではコミュニケーションが難しい、中学生だけでは無邪気に笑ってくれない。小学生も中学生も一緒にいる環境が理想的ということです。枚方の場合そこをどうするか・・。
タブレットは小4-6は1人1台
タブレットは箕面小学校の4-6年生236人に対して実証事業を実施。
教職員には、校長1人、教頭1人、教職員11人分
結果として・・
発表の時間が増えた。
タブレットの活用により、資料配布・回収の時間短縮が出来、思考力・判断力・表現力の育成を図る自力解決・学びあいの時間を増やすことができた。
平均点も伸びた
算数・理科の平均点の伸び率がタブレットなしに比べるとタブレットありの方が平均点が伸びた。
バックグラウンドで教育を支えている。
凄いのはこっちですね。CRMやってる感じです。
CRM・・・ざっくりですが、一人一人のデータをとって、それぞれに対して最適なサービスを提供し、ロイヤリティや売り上げの向上を目指すこと(Customer Relationship Management)
一人一人学力や体力を追っている。クラス替えしてもわかる。
小学1年生から中学3年生まで全9学年で、毎年、子どもたち一人ひとりの状況(学力・体力・生活)を調査把握している。
学力・・全国学力学習状況調査(小6、中3)、学力調査(小1~中2)、英語能力判定テスト(中2)
体力・・体力調査(毎年)
生活・・生活状況調査(毎年)
従来の仕組みでは、クラス替えがあるため、同一集団での比較ができず、科学的な分析ができなかった。しかし、毎年個人ごとのデータを把握し追跡することで、クラス替えがあっても、集団を組み戻して同一の集団の経変変化を追い続けることが可能に。
(当時1年1組の人たちを中学3年生まで同じ集団に組み戻す)
教員の指導結果・適正も客観的に把握。
それによって、教科ごとの実力の変化を定量的に把握できるため、担任教諭の指導結果を客観的に比較することが可能。
元1年1組の生徒の2年時の点数の伸びを見ることで、2年1組のA教師と2年2組のB教師でどちらが点数が伸びたかによって、指導力の差がわかる。また、どの科目を教えるのが得意化などの適正を把握することも可能。
学校経営力を客観的に図る
学力や体力だけではなく、生活状況調査の「学級の絆」「学級の規範意識」の回答からクラスの状態を知ることができ、6月と12月の調査結果の比較から教員の学級経営力を計ることも可能。
学級崩壊の兆候も早期に把握
前述のクラスの状態について、全学年を客観的に観測することで、担任の肌感覚に頼らず、
管理職などが学級崩壊の兆候を早期にキャッチすることが可能。
6月と12月の変化幅や、他の学級との比較をして、学級崩壊の兆候のある学級を見つけることができる。
貧困対策も経年チェックをしつつ支援担当部署につなげる。
経済的・家庭的な環境要因がある子供について、0歳から18歳まで現況確認をしている。
課題の兆候(学力や体力の急激な低下など)が見られたら支援の専任組織に早期の支援策を支持し、効果が出ているかを確認しながら成長を見守っている。
ICT以外で特筆すべき点。
教育委員会の組織改革
当事者意識ある教育委員を公募
教育委員は4名とも公募になっています。
以下の条件で公募し、34人の応募から4名を選出。
1.就学前の子どもあるいは市立小中学校の児童・生徒の保護者
2.子育てや青少年の健全育成に関わる地域の団体で活動しているもの
別途、教職員経験者の教育委員長と、行政経験者の教育長はいます。
子どもの部署を一元化。
このように、
教育委員会の中に妊娠・出産から中学卒業後の進学支援まで、「子どもに関すること」はすべて教育委員会が担っています。
学校組織の改革
└ナベブタ型からピラミッド型へ
校長・教頭と教職員の間をつなぐミドルリーダー層の確立を目指して、学校内の組織改革をモデル試行中です。
行政職員を学校現場に配置し、昭和の事務環境を改善する。
- 従来の非効率な事務の例
・メールがないので電話かファックス
・会議の日程調整をするだけでも1日では終わらない
・全学校から集まる会議などは全校に連絡をファックス送信し、それぞれから出欠の電話を受けて取りまとめる - 何でも手書き。何度も手書き。
・月間行事予定を黒板に手書きするのに、毎回1時間かかる
・各自の予定を毎朝黒板に書き、同じことを毎日日誌にも書く - 校内の情報共有は紙か回覧板
・職員分印刷して配布し、多い日は一人当たり10数枚ものお知らせを配布
・回覧は何日もかかり、回ってきたころにはすでに情報が陳腐化していることも多々あり。
他の職場を知っている行政職員数名を複数の学校に配置し、業務分析
→情報化・効率化・標準化を実施。