公共施設マネジメントの先進自治体である秦野市に視察!
昨年の習志野市に引き続き、公共施設マネジメントの先進自治体とされる秦野市の視察に行ってまいりました。この視察は河北市議会議長会での視察です。
河北市議会議長会とは、北河内7市(寝屋川、四條畷、大東、門真、守口、交野、枚方市)で構成されています。視察に行ったのは各市の正副議長と議会事務局局長、この視察の担当市の寝屋川市の議会事務局職員です。(一部欠席や代理の方あり)
公共施設マネジメントとは
人口減少・財政状況が厳しい時代に、これまで建設した全ての公共施設を維持管理更新をするのは財政的にも非常に厳しい。だからこそ、総量圧縮・複合化や統合化・利活用や転用を実施していく。将来を見据えて持続可能な都市経営のための適正化の取り組みです。
秦野市が取り組みを進めた経過
秦野市の人口は2024年には生産年齢人口が96,000人と1985年とほぼ同じになる。1985年当時の建物面積は約23.4万㎡。公共施設マネジメントに取り組み始めた2010年時点では約33.6万平米。
- 1985年は96,000人で約23.4万㎡
- 2024年は96,000人で約33.6万㎡
↑高齢者の比率も高まる中で持続可能なのか?と疑問を抱き、現在のハコモノ(公共施設)の総量を維持し続けることは不可能と判断した。
枚方市も同じように考えると?
ちなみに、同じ考え方をすると、
枚方市の場合は以下のようになります。
2038年には生産年齢人口が約19~20万人で1975年とほぼ同じになります。
- 1975年は198,697人で約27万㎡
- 2038年は191,183人で約66万㎡(仮にこのままの床面積をキープしたら)
総人口で考えると、また違った考え方になりますが、生産年齢人口で考えると2038年には床面積が半分くらいという恐ろしいことになりますね。
詳細の数字は以下をご覧ください。
人口の将来推計
- 平成35年(2023)
人口:394,961
生産年齢人口:235,553 - 平成40年(2028)
人口:381,504
生産年齢人口:227,629 - 平成45年(2033)
人口:365,027
生産年齢人口:213,062 - 平成50年(2038)
人口:346,591
生産年齢人口:191,183 - 平成55年(2043)
人口:327,553
生産年齢人口:172,532
枚方市人口推計調査より
これまでの枚方市の人口と生産年齢人口の推移
- 1960年
人口:80,312
生産年齢人口:55,239 - 1965年
人口:127,520
生産年齢人口:89,390 - 1970年
人口:217,369
生産年齢人口:152,040 - 1975年
人口:297,618
生産年齢人口:198,697 - 1980年
人口:353,358
生産年齢人口:234,538 - 1985年
人口:382,257
生産年齢人口:262,690 - 1990年
人口:390,788
生産年齢人口:282,938 - 1995年
人口:400,144
生産年齢人口:297,110 - 2000年
人口:402,563
生産年齢人口:290,977 - 2005年
人口:404,044
生産年齢人口:278,830 - 2010年
人口:407,978
生産年齢人口:258,162 - 2015年
人口:404,152
生産年齢人口:233,387
施設の延床面積
- 1960年:16,415.63㎡
- 1965年:42,273.36㎡
- 1970年:127,107.46㎡
- 1975年:269,485.64㎡
- 1980年:371,693.48㎡
- 1985年:490,504.82㎡
- 1990年:549,775.18㎡
- 1995年:617,060.79㎡
- 2000年:646,837.57㎡
- 2005年:654,480.87㎡
- 2010年:661,496.17㎡
枚方市の公共施設マネジメントの取り組み
枚方市としてもさすがに今の床面積を維持していくのは困難と考えていますので、枚方市もこの取り組みを進めています。
- 専門部署の設置(資産活用課)
- 施設カルテの作成
(施設の基本情報と維持管理にかかるコスト状況、どの程度老朽化が進んでいるか)
→コチラ(枚方市HPへのリンク) - 公共施設マネジメント計画の作成
→コチラ(枚方市HPへのリンク)
基本的な方針
これから必要になる更新等費用が年間71億円
これまでの更新等費用が年間51億円
→差額分の20億円が足りない。
→長寿命化+延床面積縮小で持続可能な公共施設管理をしていく
秦野市の公共施設マネジメントの具体的活用事例
平成20年4月に専任組織を設置し、取り組みを進めているため以下のような公共施設マネジメント具体的な活用事例が出てきています。
障害者福祉施設を民営化
保健センターの中に郵便局誘致
この取り組みは結構すごい事例です。
- 保健福祉センターの空いている床を活用
- 郵便局員が住民票交付業務(公務員以外でできるのは郵便局員のみ)
- 郵便局からの賃貸料は基金に積み立て
学校と地域施設の複合化
- こちらは断念されたとのことですが発想としては面白いと思います。
- 学校施設部分は教育活動としての利用を最優先
- 空き時間と秋場所を市民の活動に活用
- 施設の空き時間の一部を活用した事業の提案を可能にして収益を市に還元
- 収益によって維持管理コストを低減
- スペースと時間を異なる利用主体がシェアし効率的かつ相乗効果を生み出す
小規模地域施設(枚方市で言うと生涯学習市民センターや自治会館、図書館分館レベル)の移譲と開放
- 自治会に建物を無償譲渡
- 1階は児童館機能や一般開放
- 2階は自治会専用スペース
稼働率の低い夜間の会議室について定期利用制度を実施
- 夜間の会議室の稼働率が低い
- 3部屋同時に使われる確率は1%
- それならば毎週〇曜日の夜間を一括で貸し出し
- 高齢者向けのパソコン教室や英会話教室などを実施してもらう。
- 教室として月謝の徴収を認める代わりに使用料を高くしている(1000円/h⇔通常は200円/h)
市民の理解度。
この公共施設の総量圧縮・転用・有効活用などについては、どうしても総論賛成各論反対になりがちな案件です。秦野市の場合、経年で確認しているが徐々に理解度浸透度ともに増加しているとのことです。
認知度も、再配置の取り組みへの理解度も高いのですが、なぜこんなに高くなっているのかを伺うと、
- 出前講座、広報、HPなどがあるが一番効果あるのはマスコミ。
- 取り組みが早かったのでマスコミの取材を受けて、テレビで8回くらい放送されたとのこと。
- 日頃市政に興味ない人は市の広報も見ないが、テレビに秦野が取り上げられているうちに市民の中に応援団ができた
とのことです。
まとめ
習志野市と同じくキーパーソンがいますね。
秦野市の場合は志村課長という方でした。
想いのある職員と市長のバックアップがいないと進まない案件です。困難な課題ですが、未来に責任をもって、各部署の枠を乗り越えて有効活用や総量圧縮を進めていかなければなりません。市としても情報開示ももっと進めていくべきであると思います。
2日目は渋谷区の新庁舎整備についてでした。→コチラ
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枚方市議会議員
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