少人数学級が学力の向上に効果があるのか?枚方市の少人数学級の取り組みの状況とともに。
枚方市においても市長が公約にも掲げており、たびたび議論となる内容について、興味深い検証結果がありましたのでブログに書かせていただきます。
はじめに
私は未来に責任を持った政治を掲げており、そのため未来への投資である教育には力を入れるべきと考えています。そして、少人数学級についても効果があるのであれば、実施すべきだと考えています。
一方で、少人数学級というのはそれ自体が目的ではなく、学力の向上や人間力向上が目的でその手段として少人数学級がありますので、学力の向上に対して少人数学級以上に効果のある手段があれば、少人数学級にこだわる必要はないと思っています。
また、学力の経済学という本からは海外の調査においてはあまり効果がないという事例も出ていますので費用もかかる少人数学級については慎重に考えていくべきではないかと考えているところです。
そのような状況の中、今回の調査結果については非常に興味深いです。
結論からいうと今回の調査からは影響が小さいようです。
※まだ確定版ではないということです。
このブログでは、
- 少人数学級をめぐる議論
- 国や府・市の動向
- 調査対象、調査結果
- まとめ
という順番に書いております。
少人数学級をめぐる議論
- 財務省の主張は、少人数学級の効果は見られないので、35人学級を廃止し40人学級に戻すべき。
これにより、必要な教職員数が約4,000人減り、人件費の国負担分を年間約86億円削減できるという。 - 文部科学省は、教員の多忙感や、きめ細かい指導といった観点から35人学級の維持を求めている。
どちらの主張も少人数学級の効果が明らかになっていない中で、国の財政状況が厳しく全体を絞っていきたい財務省と、担当業務の予算を拡充したい文科省がそれぞれの立場からの主張になっています。この時は結果として文科省の主張が通り、予算が削減されることはありませんでした。
枚方市や大阪府・国の状況
国の状況
国としては全国一律に小学校1年生を35人の少人数学級にしています。その分の予算措置がされていまして、先ほどの文科省と財務省のもめごとはこの予算についてです。
大阪府の状況
大阪府としてプラスして小学校2年まで少人数学級を実施しています。府が2年までのお金は担保してくれています。
それ以上の学年については、市がお金を独自に出して実施しています。
枚方市の状況は下記の通りです。
他県においては、小学校3年までを少人数学級を実施しているところもあります・
枚方市の状況
平成30年度から、これまで1~4年までの市独自の少人数学級編成を拡充し、第5、第6学年を対象に支援学級在籍児童数を含んで1学級40人以下とする少人数学級編制を実施しています。市独自というのは支援学級在籍児童含めて35人にしているところです。国や府の35人は支援学級在籍児童を含んでいません。
経過としては、平成24年から3学年まで対象、平成27年から4学年までになっています。
ちなみに5・6年生に少人数をするとなると1.7億円が必要になると試算されています。
大阪府内の他市では独自に小学校5年や6年まで少人数学級を実施している自治体もあります。
調査対象と調査結果について
調査対象
東京大学経済学研究科の山口慎太郎准教授、慶應義塾大学総合政策学部の伊藤寛武助教、中室牧子准教授による共同研究です。
- 県内の公立学校に通う、小4から中3までのすべての児童・生徒を対象
- のべ300,000人ほどが調査対象となった規模の大きな調査
※大人の事業によりどの県かについては明かされていません。
調査結果
- 少人数学級が学力に与える影響は小さいことがわかった。
- 具体的には、クラス内の児童数を10人減らすと、学力は偏差値換算で0.5上がる。
- 一方、非認知能力に対しては、少人数学級はほぼ影響しないことがわかった。
非認知能力とは・・・
勤勉さ、自制心、自己肯定感などのことを示します。
将来の所得に関係すると言われています。いわゆる国語・算数・英語などのテストの点数が高いか低いかは認知能力と言われており、その対義語として使われています。
調査対象と調査結果についてはこちらのブログから抜粋させていただいておりますので詳細はコチラをご覧ください。
まとめ
今回の調査では影響が小さいということですので、学力の向上のためには少人数学級ありきではなく、どういう手法が最適か、他にも効果のある取り組みはないのか?については考えていってもいいと思います。そして、このようにしっかりとそれぞれの政策について効果が検証がされていき、政策が改善されていくことは教育政策のみならずすべての政策において大事であると考えています。
私の考えとしては、
- 学力の向上は大事
- 学力だけではなく非認知能力の向上も大事
- お金が限られている中でどの手法が最大限の効果を出すのかについて検証は必要
- 根拠に基づいて政策を実施していくことが大事
(EBPやEBPMといわれるものです)
全般的な話としては未来への投資という観点からも、子育て世代に枚方市に住んでもらうためにも教育にもっと力を入れていくことは必要であると思っています。
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枚方市議会議員
木村亮太(きむらりょうた)ご連絡はこちらにお寄せください。
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