市立ひらかた病院における新型コロナウイルス感染症の対応について
病院管理者の最初のあいさつ
新型コロナウィルス感染症について
世界的には感染者2200万人、死者80万人(8月18日現在)
このウイルス厄介なところはステルス性、隠れてしまうし、進化が早い。
1年間で1000世代、世代交代するといわれている。
ウイルスに勝とうとしても勝てないので、
人類とウイルスの最終決戦ではなく、共存していけるかというが大事
→WithCorona
ただ、病院はWith CoronaではなくWithout Corona
COVID-19(新型コロナウィルス感染症)の主な症状
症状発言5日前からウイルス排出
症状発言1日前がウイルス排出のピーク。
SARSは症状発現してから次の患者に感染するが、コロナの場合は症状が発現する前に誰かにうつしている可能性がある。
ウイルスにさらされてから2-14日後に症状が現れることがある
症状は、発熱、咳、倦怠感。
倦怠感は熱中症と間違われる場合もあるので注意。
- ほとんどの方(80%)は無症状、軽症・・・微熱、筋肉痛、頭痛
- 15%は中等症・・・高熱、息切れ、強い倦怠感
- 5%は重症、重篤・・・呼吸困難、低酸素症、脱水
今やっていることは
中等症の方をなるべく重症化しないようにする。
- 中等症になると・・・酸素投与
- 重症になると・・・人工呼吸器・ECMO(重篤)
2週間後じゃないと抗体検査に陽性にならない。抗体検査でコロナに罹っているかどうかを判断するのは非常に難しい。
10日以降は感染がないだろういうことで退院の根拠になっている。
怖いのはサイトカインストーム。(免疫細胞がウイルスと戦うために作るサイトカインが、制御不能となって放出され続ける状態)体中で反応が起きている状態。
自分の血管を傷つけて血の塊を作ってしまう(肺血栓)
抗ウイルス薬や免疫調整薬などで対応しているが、現状では特効薬がない。
全世界で57億回分、日本でも4.9億回分のワクチンは確保されているが、まだワクチンの開発がされていない。
年代別の人口10万人当たり感染者数
- 80歳以上:26.1
- 70代:18.9
- 60代:22.7
- 50代:36.8
- 40代:36.4
- 30代:61.0
- 20代:120.4
- 10代:20.4
- 10歳未満:9.5
人工呼吸器とECMOをつけるとどうなるか
人工呼吸器について
軽快 529例, 死亡 150例, 人工呼吸実施中 163例・・・
6割程度は助かる。
ECMOの場合
8月19日時点で、ECMO離脱 131例, 死亡 54例, ECMO実施中 20例
6割弱くらいがECMOを外れる状態になる。
どちらも、日本COVID-19対策ECMOnetというサイトの表を貼りました。
ECMOにおける必要人員
ECMOについては、1台につき医療従事者が4人くらい必要。1人の患者にバックアップも含めて2台用意している。そうなると1人のECMO患者につき全体で5-10人くらい。ECMOを回すだけの人員を確保するのが課題。
サージカルマスク95%飛沫をカットする。
N95%はさらに飛沫をカットする
1分間大声を話すとウイルスを含有する少なくとも1000粒の飛沫が8分をこえて空中にとどまり、それを吸い込んだ誰かにCOVID19を誘発しうるレベル。
市立ひらかた病院のコロナ対応
市立ひらかた病院のコロナ対応
感染症指定医療機関(第2種)
北河内7市で120万人に対して感染病床は8床
1月31日に疑似症の方が一人入院した。
感染症の方専用のエレベーターで感染病棟に。
新型コロナウィルス感染症対応に備えた準備
体制整備
- 保健所との連携体制
- 標準予防策・接触予防策・飛沫予防策の徹底(職員教育)
- 指揮系統の確認(新型コロナ対策委員会・新型コロナコアメンバー会議・感染コントロールチーム)
- 診察医師、対応スタッフの役割と体制整備
感染対策
- 受付から診察までのリスクの確認
交差しない導線確保 - 一般診察分離
ゾーニング・感染区域と非感染区域分離 - 受付
ポスター掲示・パーティション - PCRの検査方法
来院時の検温・問診、夜間閉鎖・面会禁止 - 共用スペースの管理
職員食堂:食事スタイル・椅子の配置変更
各会議室:SD確保・換気誘導
院内全域:擦式消毒剤設置場所増設 - 入院患者のコホーティング
8床+12床の使用方法 - 標準予防策・接触予防策・飛沫予防策
- 手指衛生
- PE着脱その他ビデオ作成
- 環境整備:高頻度接触面の清掃徹底(田の部、手すり、電話、パソコン、全部署報告)
当初は8床
4月7日に大阪府より20床の受け入れ要請があり体制整備。
- 感染病床担当医配置
- 夜勤体制整備
- 1病棟閉鎖:看護師人員確保
- 物品確保
- 挿管患者対応(気管挿管の時にせき込むので危険。)
- HCU立ち上げ(集中治療室に準じたハイケアユニット)
- 麻酔科医動員
ドライブスルー方式で検体採取もやっている。
各都道府県で今後想定される感染状況
目標:医療・公衆衛生・経済が調律しうる範囲で
①十分に制御可能なレベルに感染を抑制し、死亡者・重症者数を最小化
②迅速に対応し、感染レベルをなるべく早期に減少へと転じさせる
- ステージⅠ:感染者の散発的発生及び医療提供体制に特段の支障がない段階
- ステージⅡ:感染者の漸増及び医療提供体制への負荷が蓄積する段階
- ステージⅢ:感染者の急増及び医療提供体制における大きな支障の発生を避けるための対応が必要な段階
- ステージⅣ:爆発的な感染拡大及び新奥菜医療提供体制の機能不全を避けるための対応が必要な段階。
今はステージⅢ
判断指標
市立ひらかた病院の入院治療(8月20日講演時)
- 陽性者90名
- 市内26名
- 市外64名
- 疑似症100名
- 合計190名
今後、感染者が爆発的に増えたら30床も検討中
様々な影響
- 感染症に対応するため、一般病床を一部閉鎖・縮小
- 手術や処置の停止
- 感染の意見性から、実施しない旨のガイドラインが示されたため(消化器内科、耳鼻咽喉科、歯科口腔外科等)
- 手術用の衛生材料(ガウン・手袋)の不足による一時制限
- 各種健康診断や人間ドック等の停止
- 面会の原則禁止
- 医療相談・連携室の地域のsん両所への訪問活動の停止
- 歌詞機能債権センターのオープンの延期
- 市民公開講座・各種研修会の中止・延期
- 連日の職員の検査・出勤調整(これが一番)
浮かび上がった課題
病院経営の悪化
- 患者数の減少
- 受診控え
- 手術等の診療行為の制限
- 健診の中止
・・・等
様々な感染防止対策の必要
職員の精神的・肉体的負担
感染のリスクから、常に強度の緊張感を強いられる
イレギュラーな業務の増加・・・等
衛生材料等の不足
ガウン、マスク、フェイスシールド、手袋など、多くの衛生材料の納品がストップ
経営状況について
患者・収益は減少している。
空床保障はあるものの。
対象となる病床は限られていて、市としてはそれ以上に病床を用意しないといけないため、足りない。
人員確保のために6階西病棟を一時閉鎖し看護師の応援体制
7階東病棟における収益の影響と空床補償額の試算
収益はマイナス1.5億(前年度比)
空床補償額1441万円
全然足りない・・・
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