【インターン生】成年後見人の勉強会を見学しました@原本
インターン生の原本です。
今日は成年後見人の勉強会があり、インターン生として見学させていただきました。
成年後見人について、公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポートの皆様からご説明があり、現状の課題について知ることができました。
成年後見人とは?
【事前にリサーチしたこと】
認知症や知的障害など、精神上の疾患により判断能力が著しく低下した方の財産を保護するために、ご本人の財産保護や身上監護を行う者のこと。
メリット:成年後見人が預貯金や不動産などを動かすことができる
本人が行った不利益な契約や詐欺被害などを取り消しすることができる
親族や第三者の使い込みを防げる
デメリット:費用がかかる
本人の死後まで仕事が続く
上記は勉強会までに自分で軽くリサーチしたものです。デメリットそんなにないですよね。
しかし、勉強会で様々な課題を聞いて驚きました。
【専門職後見人のお仕事】
後見、補佐、補助など様々な種類がありますが、専門職後見人の仕事は主に下記の通りです。
【財産管理】
- 現金、預貯金の管理
- 空き家などの管理や片付け
- 年金や生活保護など、助成金の活用
- 施設利用料、入院費の支払い
- 借金整理、自己破産 などなど
【身上監護】
- 施設入所、介護契約の手続き
- 健康保険、介護保険などの更新
- ご本人の生活や療養監護に関する支援 などなど
専門職後見人の「多様な仕事」
被後見人(成年後見を受ける側)の人ってみなさんはどのようなイメージを持ちますか??
私は、ある程度お金がある人なんだろうなぁ〜と考えていましたが、現実では全く違いました。
▷実際の事例
数年前から市役所の生活保護課の窓口で「お金が無い」「一昨日からご飯を食べれてない」と訴え始めたAさん。
認知症を患っており、見た目は認知症には見えませんが買い物をするときに小銭が出せないなどの症状がありました。
市の職員さんが調査をしたところ、
- 生活費がなくなり、食事ができない状態であった
- 毎月の生活保護費の支給直後に第三者に現金を搾取されている疑い
が判明しました。
地域包括支援センターも介入し、通帳の管理など本人の生活支援を開始しましたが一向に改善されませんでした。
その後、お金の管理には限界があるため、施設に入所させることを目標に、後見等開始申立てに至りました。
【この時の後見人のお仕事】
- 一週間に一回、自宅に出向き、生活費の5,000円を渡す
- 生活保護でも利用できる施設を探す
- 生活保護課との打ち合わせを数回行う
- 自宅アパートの残留物の処分
- 自宅アパートの引き払い
- 施設入所契約
【施設に入ってからのお仕事】
- 月一回程度の面会で生活状況の確認
- 入出金の管理
- 介護サービスの追加や変更の契約
- 入院したらその手続き
- 本人が死亡したら、死後事務 などなど
数ヶ月後、無事に施設に入所することができ、本人の財産の流出もなくなりました。
生活は、身上面、資産面共に劇的に安定することができました。
しかし・・・
本人の預金は少なく、収入は生活保護費だけ。
施設費用とデイサービスの支出を考えると赤字になります。
厳しい状況の中、後見人はやりくりします。
しかし、本人の預金は「ほぼゼロ」となるので、専門職後見人の報酬は捻出されません。
これだけ働いて、民法の規定もありますが、
専門職後見人の報酬はどこからも貰えない。本人の死亡まで無報酬のまま仕事が続く・・・
このままでは後見人のなり手もいなくなってしまいます。
市民後見人
市民後見人とは・・・
1. 財産管理や身上監護等の後見業務を行う
2. 報酬を前提としない活動を行う
3. 家庭裁判所に選任してもらう必要がある
4. 現在大阪府内で212名が市民後見バンクに登録している
大阪市では市民後見人の養成講座などがすでに行われてますが、枚方ではサポート体制がまだ少し弱い状況です。
▷市民後見人にできないこと
- 医療同意
- 身元保証人や連帯保証人になること
- 身体拘束の同意
- 日々の買い物
もちろん、少し複雑な案件の場合は専門職後見人が行います。
しかし、市民後見人の登録者が増えると専門職後見人の負担も軽減されます。
最後に
「成年後見人」の存在は以前から知っていましたが、
これほど大変な課題を抱えてることは知りませんでした。
高齢化社会の今、成年後見人の需要はもっと高まっていくと思います。
専門職後見人の負担の軽減や市民後見人の登録者の増加のため、地域でのサポート体制をより強化していく必要があります。
第一線で活躍している成年後見人の皆様のお話を直接聞くことができてよかったです。
リーガルサポートの皆様、ありがとうございました。