健康寿命の延伸のために介護予防の効果測定とデータの把握を。
一般質問の内容その2です。
質問にした問題意識
介護予防が大事、というのはずっと言われていることですが、そもそも、これまでの取り組みは本当に効果が出ているのか、効果を確認できるようにデータを負えているのか?といったことを確認しております。
本当はもっと深堀したかったのですが、時間が足りず・・です。また改めて取り上げていきたいと思っております。
データ抽出作業が大変という話を職員の方から聞いています。本当にお疲れ様です&ありがとうございます。
本来はこういうデータをもっとさくさく出して、定量的に分析していけるような体制が大事だなと思います。
関連質問1:2017年6月:重度化予防対策ができる体制づくりを
関連質問2:2015年12月:介護保険事業、詳細分析が必要では
質問するにあたり、事前に抽出していただいたデータ
要支援・要介護認定を受けられた方が2年後の認定区分がどうなっているのかについて、
H25→27とH27→29で比較してデータを出してもらいました。
状態が軽度化・改善した比率が増えているのか、逆に悪化している比率が増えているのか。これにより、介護予防施策、また介護になっても状態が悪化しないようになっているのかどうかがわかります。
結果は以下の通りです。
状態が軽度化・改善した人の比率は下がり・・・
状態が変わらない人の割合は増えたり減ったり。
状態が重度化している人の比率は増えています。
というように、介護認定を受けている方の中でも比較的軽度な方々の状態が改善することなく、悪化している方の比率が増えてしまっているという状態です。
ただ、質問のやり取りでもしておりますが、データが約2万中1万人ほどしか取れていませんので、正確かどうか、という課題もあります。
このデータのうち、要介護3以上については状態の改善なかなか難しいじゃないかというのも含めて、議会では要支援1、要支援2、要介護1、要介護2の4段階のみ答弁していただいています。
介護保険会計の予算規模
ちなみに、枚方市の介護保険会計って平成31年度(令和元年度)の当初予算ベースで340億円ほどあります。
ちなみに一般会計は1400億円ほど。道路作ったり、公園作ったり、教育や子育て、防災、防犯、ごみの収集・処理、生活保護や障害福祉など諸々で1400億円なのですが、介護だけでその4分の1以上の340億円。
すごい予算規模だと思いませんか??
ということで、この介護保険の部分もしっかり見ていかないと、という思いで、議会でも取り上げていますし、前述の通りデータ分析をすることも大事ですし、人材育成や組織化もしていってもいいんじゃないかと思います。仮に1%変わるだけで3億円。
3億円あれば、例えばですが、人手不足とされてる保育士の処遇改善で1人につき、毎月3万円給料を上乗せすることができます。
↓↓
保育士の処遇改善、離職防止のために勤続年数に関わらず、市独自で月額1万円上乗せもします。保育施設に勤務する保育士、保育教諭、看護師が対象です。
費用は年間で約1億円。— 木村亮太(きむらりょうた)@枚方市議会 (@kimura_ryota) November 29, 2019
介護保険の保険給付等の内訳
介護保険は保険料でまかなわれている部分もあります。なので、「保険料を払っている人たちの相互扶助なので、高齢者以外は関係ないんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。
現役世代(2号被保険者)も保険料払っていますし、それでも全体の半分にしかなっていません。ざっくりですが、半分は介護保険料、残りの半分は税金です。
- 約25%:1号被保険者(65歳以上の方)
- 約27%:2号被保険者(40歳から65歳までの方)
- 約48%:国・府・市
図は枚方市の介護保険の計画(ひらかた高齢者保健福祉計画21(第7期))から抜粋です。
緑で塗っているところが保険料です。
困っている人を困っていない人が支える保険制度、介護保険制度自体を否定するつもりはありません。ただ、困っている人の比率が多すぎたり、介護の状態がどんどん悪くなり、給付費がどんどん増えていくと立ち行かなくなりますので、
もちろん、不慮の事件、事故も含めて思わぬタイミングで介護が必要になることもありますし、加齢に伴い心身が弱ってくる事もありますし、本人も望んでなっていないというのは承知しています。
そのような背景がある中でも、市としては現状をしっかりと把握分析し、持続可能な制度にしていくためにやるべきことがあるのではないか、というお話です。
質問の要旨
前置きが長くなってしまいましたが、以下が質問内容です。
2015年の12月議会、でほぼ同趣旨で質問していますので、当時と比べて数値的にはどうなのかを伺っています。
→当時の質問:介護保険事業、詳細分析が必要では
また2017年6月議会でもデータ分析できる体制を整えるべきでは?という趣旨で質問をしております。
→当時の質問:【介護保険】重度化予防対策ができる体制づくりを
- 数値は前述の通り、平成25→27と平成27→29では平成27→29の方が悪化している
- ただ、データは介護認定を受けている人の約半数しか終えていない
- 残りの半数のデータも追えるようにしていくことが必要
- 人材育成や専門部署の設置も検討してほしいい
という内容です。
質問の詳細
【質問】
健康寿命の延伸に向けて、効果のある介護予防施策を実施していくことが重要です。そこでまず、現状を確認させていただきます。以前に、要支援・要介護認定を受けられた方の2年後の認定区分の推移について、平成25年度から27年度の推移をお聞きしましたが、今回、要支援1から要介護2までの方で2年後に認定区分が重くなった方の割合について、平成25年度から27年度と、平成27年度から29年度が比較できるようその数値をお聞きします。
平成25年度と27年度の両年度に要支援・要介護認定を受けられた方のうち、要支援1から要介護2までの方で認定区分が重くなった方の割合と、同様に平成27年度から29年の割合について、お答えします。
まず、要支援1であった方のうち、要支援2以上になった割合は、平成25年度から27年度が53%、平成27年度から29年度が57.3%となっております。同様に要支援2であった方が要介護1以上になった割合は、それぞれ35.1%と42.5%、要介護1であった方が要介護2以上になった割合は、それぞれ65.1%と67.1%、要介護2であった方が要介護3以上になった割合は、それぞれ40.5%と42.7%となっています。
【質問】
要支援1から要介護2までの方の2年後の認定区分をお聞きしますと、いずれの介護度においても重度化されている方の割合が高くなっていますが、その要因はどのように分析されているのかお聞きします。
【答弁】
いずれの介護度においても、認定区分が重くなった方の割合が高くなっていますが、その要因としては、まず、平成29年度から要支援1及び2の方を対象とした介護予防・日常生活支援総合事業を開始し、地域において多様な介護予防の取り組みを展開しており、これらの事業を選択されることにより、認定の更新時に申請されない方もおられることが挙げられます。また、認定者の年齢構成において、後期高齢者の割合が高くなってきているなど認定区分の傾向に影響する複合的な要素があります。加えて、今回の結果は、両年度で申請があった方のみのデータであることから、全体の約半数となっており、状態が改善し更新申請をしなかった方などすべての方のデータを捉えていないことからも、今回の結果をもちまして、直ちに要介護2までの方の重度化が進んだとの判断に至ってはおりませんが、そのような傾向がうかがえるものと受け止めており、今後、データ分析を継続し検証を重ねることにより、効果的な介護予防施策の展開に活用していきたいと考えています。
【意見要望】
今回の結果は、両年度で認定申請があった方のみのデータで、その他の申請がなかった方は転居や、お亡くなりになった方など様々な事情はあるかと思いますが半分くらい追えていない状態です。今後、エビデンスに基づいた介護予防施策を展開していくためには、全データからデータ分析ができるようシステムを構築していくべきです。また、健康寿命の延伸には、若年期からの個人ごとのデータを、部署を超えて集約し分析していく必要があると考えます。市で保有する膨大な情報を活用し、戦略的に施策を展開していくため、是非、データ分析ができる人材の育成や、専門部署の設置についても検討していただくよう要望いたします。