市立ひらかた病院の経営状況と市立豊中病院の視察・比較
今日は厚生常任委員会のメンバーで、午前中は市役所で担当部署との協議、午後は市立豊中病院に視察に行ってまいりました。
市立ひらかた病院の経過と経営状況をざっくりと言うと
- 北河内7市で唯一の公立病院があります。
- 平成26年9月に今の新しい建物の市立ひらかた病院になりました。
- 旧病院の時に不祥事にがあり、経営が傾きかけた時期がありました。
- 建物も老朽化していたのでこのまま建て替えをせずに、閉院してしまうべきでは?という議論もあったようです。
- しかし、公立病院が必要という声と、経営を立て直し、今後も黒字経営を続けるということで、建て替えを実施しました。
- 建て替え後は、旧病院の時と比べると患者数は増加していますが、当初の計画の経営数値や病床稼働率(病院のベッドがどれだけ使われているか)を超えることはできていません。
当初の計画との乖離
平成30年度枚方市決算審査意見書より。
こんな感じで、すべてとは言いませんが、多くの項目で計画よりも下回っています。。
PDFファイルが市のHPにアップされています。
- 外部有識者からも枚方市の財政が硬直化している原因として挙げられています。
→枚方市の財政分析:問題はやはり病院事業? - 私も議会で経営状況についての指摘や改善策を提案しております。
→市立ひらかた病院(枚方市民病院)の経営状況は??
(※当時立場上質問ができなかったため、同じ会派の議員に質問していただきました) - 枚方市で行革プランを立てていますが、病院事業の経営健全化ができるかどうかが大きな割合を占めており、プランの達成が大変厳しい状況です。
→目標効果額73億円を掲げた行政改革実施プランの進捗状況は全体で66.7%です。が・・・。
ということで、午前中は枚方市の病院事業の担当部署との協議、午後は近隣で病床稼働率が高く、平成24年~27年は黒字化していた豊中病院の視察に行ってまいりました。
午前:市立ひらかた病院の取り組みについて
病院経営健全化に向けての2本柱
- 地域連携の強化
- 救急患者の受け入れ増進
地域連携の強化
【目標数値】紹介率65%:実績57~58% 未達成
地域の医療機関への訪問により顔の見える関係の構築(隣接市まで範囲拡大)
→紹介患者数H30年度750人UP
また、この紹介率(と逆紹介率)が上がれば、地域医療支援病院の指定を受けることができます。
目安となるのは、紹介率が65%、逆紹介率が70%(逆紹介率の実績は60%程度)現状としては、紹介率も逆紹介率も約10%ほど足りていません。
救急患者の受け入れ増進
【目標数値】応需率85%(日中100%):実績88.7% 達成!
院内の救急体制の整備、救急隊との意見交換会を定期的に開催。
その他の取り組み
- 常勤医師の確保(平成31年4月から4人増)
- 消火器センターの運用開始(平成31年4月)
- 新たに外部コンサルタントを導入
→部署ごとに目標を設定し、病床利用率向上策や紹介患者数増加策について各部署でディスカッションを通じて個別具体的な助言。 - 診療単価の増加
- 入院
→高度で専門性の高い症例の治療(消火器センターの運用、手術の増加) - 外来
→症状が安定した患者に地域のかかりつけ医を紹介
→高度の検査や治療の受け入れ推進(呼吸器科における化学療法の実施件数増)
- 入院
- 副院長の専任担当業務制導入等の院内の体制整備
- 魅力や診療内容についての積極的な情報発信
午後:市立豊中病院の視察
枚方市より各種経営数値が良いです。
豊中市 | 枚方市 | |
入院単価 | 61,322円 | 56,504円 |
外来単価 | 16,983円 | 11,389円 |
病床利用率 | 86.6% | 78% |
紹介率 | 79.8% | 57~58% |
逆紹介率 | 76.4% | 60% |
ちなみに豊中病院は一般病床数が599床、ひらかた病院は307床です。
紹介率を高めるためにやっていること・・
- 市域に関わらず近隣の消防局に訪問(営業)している
- 患者の受け入れの手順を定めている。地域の診療所がストレスにならないように。
- 診療科ごとに紹介率を追っている
このように、紹介率、逆紹介率が高いため、豊中病院は地域医療支援病院の指定も受けております。枚方市は取得に向け頑張っていますが、指定を受けていません。地域医療支援病委員の指定を受けると、DPC係数があがり、診療報酬が上がり、収益が上がります。同じ医療行為をしてもDPC係数が高いだけ収益が上がるという仕組みになっております。
マニアックな話ですがDPC加算の取得については以前に議会で提案しております。(2017年12月)
また、年間20数億円の収益が見込まれると言われる透析医療・人工透析については、市立豊中病院は人工透析を実施する場所がありました。市立ひらかた病院は新病院建設にあたり医師会から市立病院に対して「慢性維持を目的とした外来透析は行わないこと」との要望を受けており、そのように運用しております。つまり、ひらかた病院では透析医療・人工透析を実施しておりません。
ただ、そんな豊中市でも赤字になっており、平成30年度決算で一般会計から約23億円繰り出しをしているというように、改めて非常に公立病院は厳しい環境にあります。(※枚方市は一般会計からの繰り出しは約16億円:H30)
※繰り出しについては政策医療・不採算医療を担っている側面もあり、全額が直ちにNGというわけではありません。
そもそもなぜ公立病院はなぜ厳しいのか?
- 公的病院としての役割を、ということで、政策医療・不採算医療といわれる小児医療・救急医療を持っている
- 病院はそもそも診療報酬の改定によって大きく経営が左右される(ただし、これは民間の病院も同じ)
- 仮に赤字になっても自治体の本体から補てんされることが多く、民間の病院とは経営意識・危機意識が違う?
というようなことが考えれます。
不採算部門を持つ代わりに、採算の取れ部門も作って、全体のバランスを取ればいいのでは?という意見があると思います。もちろんそうなるように、市立ひらかた病院も外科などやっておりますが、それでも収支的には厳しいです。
まとめ
枚方市内に民間の病院がたくさんあり、市立ひらかた病院の近くかつ、枚方市駅前に関西医大付属病院がある中、政策医療・不採算医療も担わなければならない中で、経営健全化も求められるという市立ひらかた病院。
もちろん、経営健全化を頑張っていかなければなりませんし、私もいい提案ができるように頑張らなければなりません。
しかし、このような外部環境の中で、どうするべきでしょうか。
枚方市は一般会計から約16億円を病院事業会計に繰り出しています。
公立病院があれば安心。
といった声もお聞きしますが、税金の負担は以上の通り。年間16億円あれば、他の事がいろいろできます。
例えば・・・
- 中学校給食を全員にするにしても初期費用3億、毎年5億です。
※参照元はコチラ - 第二子以降の保育料無償化は4.9億円
- 高3年までの医療費助成は2億円。
※参照元はコチラ - 16億円あれば、
- 私立保育所なら3100人くらいの定員増(16億÷50万円)
- 公立保育所なら1100人くらいの定員増(16億÷140万円)
※参照元はコチラ
経営健全化に向けて、頑張っていただいてはいますが・・・。
政治的判断が求められてくると思います。
皆様はどう思われますか?
SNSメール等でもご意見いただければ嬉しいです。
段取りしていただいた、正副委員長、議会事務局の皆様、そして、受け入れていただいた豊中市の皆様には感謝申し上げます。
余談
モノレールの柴原駅のすぐ近くに立地しているのですが、駅名が変わっていました。今はもう柴原駅ではなく柴原阪大前駅になっていました。この駅の阪大前感はわかるのですが、石橋駅が石橋阪大駅前駅になってるのは違和感です。距離的に・・・・。