LINEの活用や、待たない・書かない市役所窓口に向けて。スマート自治体の実現に向けたICT活用の取り組みについて | 前枚方市議会議員 木村亮太
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LINEの活用や、待たない・書かない市役所窓口に向けて。スマート自治体の実現に向けたICT活用の取り組みについて

2019年9月17日から各種委員協議会が開かれています。

 

そこで委員協議会で話される案件の中でも気になるトピックをこのブログで発信していきます。

この記事はインターン生の福井くんにまとめてもらいました。

 

今回のテーマは「スマート自治体の実現に向けたICT活用の取り組みについて」です。

 

政策の背景・目的

 

現在、人口減少が進む中、持続可能な自治体運営を進めるためには、行政サービスの質的向上を図るとともに、長時間労働の解消を促し、職員が本来の業務に注力できる環境が実現された「スマート自治体」への転換が必要となっています。

 

転換にあたっては、従来業務の見直しや民間活力の活用とともに、ICTををこれまで以上に有効活用していく必要があります。

 

枚方市では、国の動向や全国自治体の先進事例を調査・研究し、有用性の高いものについて積極的な導入に向けた取り組みを進めているところです。

 

今回の総務委員協議会では、現在の取り組み状況と今後の予定について報告します。その内容がもっと多くの市民の皆さんにも伝わるようにこのブログに書いていきます。

 

政策の内容

 

スマート自治体への転換に向けて、枚方市では

①統合アプリの導入

②窓口支援システムの導入

③RPA・AI−OCRの導入拡充

④PCシャットダウンシステムの導入

の4つの政策に取り組んでいます。

 

下にそれぞれの政策を解説していきます。

 

①統合アプリの導入

 

スマートフォン等のモバイル機器の普及を踏まえ、ICTを活用した市民と行政との接点を強化する取り組みとして、利用者の高い「LINE」アプリを活用し、それを基軸とした統合アプリの導入を検討しています。

 

 

アプリに搭載する機能として、

 

・LINE公式アカウントにポータル機能を持たせ、デジタル窓口化

 

・デジタル窓口に接続することで、タップ1つで日々の生活に密着した生活支援機能が使える(各種業務アプリにアクセスすることができる)機能

 

・必要時にデジタル窓口から手続等を行える機能

 

上記3つがあげられています。

 

これにより道路や遊具の不具合の通報、子育て情報の取得、デジタル申請、ゴミ分別の確認、事前の窓口予約や電子申請などが簡単になります

 

↓イメージ図です。

 

既に実施している窓口予約システムや道路通報の試行実施結果も踏まえ、今後はシステム化する業務範囲の選定を進めます。来年度の導入に向けて準備を進め、段階的に機能の拡充を図ります。

 

②窓口支援システムの導入

 

住民異動に伴う手続きの簡素化、所要時間の短縮を図るため、「書かない」「迷わない」「待たない」をコンセプトとした、窓口サービス向上のためのシステム導入を図ります。

 

システム導入後の流れのイメージとしては

①自宅から事前申請、もしくは来庁時にタブレットから申請する。

②申請された情報を基に、市民室で関連する窓口の案内状と申請者の情報をまとめたQRコードを交付する。

③申請された情報は職員によって補正し、窓口では申請者の情報をQRコードを利用して素早く読み込む。

となっています。

 

 

これにより

・届出者が氏名・住所・年齢等を何度も「書かない」

・必要となる関連手続きの正確な案内ができ、届出者が「迷わない」

・手続き処理の簡素化により、処理が迅速化するため届出者は「待たない」

という便利で正確な窓口サービスを行うことができるようになります。

 

今後は2019年度中に関係課のワーキンググループによる検討、試行実施による効果検証を行い、2020年度の導入に向けて準備をすすめます。

 

③RPA・AI−OCRの導入拡充

 

この政策についてはそもそもRPA・AI−OCRとはなにか、まずはこれを解説します。

 

RPA:定例・定型的なパソコン操作を記録し、自動で実行してくれるシステム(ロボット)のこと。

 

AI−OCR:申請書をスキャナに読み取り、AIを使った文字認証により申請内容をデータ化するもの。

 

ではこれらを使うとどうなるのでしょうか。

 

簡単に言うと、紙に書かれた情報を自動でシステムに入力、出力ができるようになります。よって情報入力、出力の簡素化に繋がります。

 

現在枚方市では

・軽自動車税情報の登録

・図書館における本の在庫検索・発注・システム登録

・情報推進課、子育て運営課における財務会計システムの入力

・国民健康保険室における賦課納付書のシステム入力や単語追加、過誤納通知の作成

という上記の業務において既にRPAを導入し、効率化を図っています。

これにより月間合計約150時間、年間合計では約1800時間の時間削減に繋がっています。

 

また、2019年8月にはAI−OCRの実証実験を行いました。実験の結果、枠内に収まっている文字や数字・アルファベットは認識率が高く(ひらがな、漢字に関しては約90%の文字を正確に認識)、一方斜め書きの文字や項目に入る情報を設定していないものは認識率が低いことがわかりました。

 

今後は9月〜10月に試用環境を庁内に設置し、さらなる検証を実施した上で、結果を踏まえてRPAへの連携を含めたヒアリングを行い、有用性を確認した部署については2019年度中にAI−OCRを導入する予定です。

 

④PCシャットダウンシステムの導入

 

職員の健康増進やワークライフバランス推進の観点から、長時間労働の縮減をより一層進めるため、所属長が労務マネジメントを補完し、時間外勤務の事前命令・事前申請の徹底を図るためにPCシャットダウンシステム導入を予定しています。

 

導入後の流れとしては、

①所定の時刻になると、PCが自動的にシャットダウンされる。

②時間外勤務が必要とされる場合は、このシステムを使って時間外勤務申請し、所属長の承認をうけて決められた時間までPCを使用可能にする(経過後はシャットダウンされる)。

となっています。

 

今後はシステム構築や説明会の実施を行い、2020年1月の本格導入を予定しています。

 

まとめ

 

ICTの活用については私も力を入れており、6月の議会でも提案しておりました。

→ICTを活用したまちづくりについて(業務効率化とLINEの活用)

 

今回はそれを踏まえてより具体化された内容になり、全ての政策が上手く機能すれば、作業効率の上昇や人手不足の解消に大きな効果をもたらすものであると思います。

 

新しいシステムという都合上、慣れるまで時間がかかるものではありますが、市民の皆さんにも早いうちから少しでもシステムを理解してもらうことで導入後、申請や報告がスムーズにできるようになればと思います。

 

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枚方市議会議員
木村 亮太
民間企業を経て2011年より枚方市議会議員。政治スタンスは未来に責任を持った政治。主な政策は行財政改革、人事給与制度改革、教育子育ての充実、持続可能な社会保障制度改革、ICTを活用したまちづくり。
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