【これからの公共交通のあり方】宇都宮市のLRTの取り組みについて、副市長の吉田氏に話を伺いました。 | 前枚方市議会議員 木村亮太
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【これからの公共交通のあり方】宇都宮市のLRTの取り組みについて、副市長の吉田氏に話を伺いました。

今日は枚方LRT推進会主催の特別講演会である、ー日本初の路面電車のない街から、LRTのある街づくりへーに参加させていただきました。

 

 

 

講師は宇都宮市副市長の吉田信博氏。

 

概要と私の考え

宇都宮市はLRTを整備するにあたって、市民への説明を繰り返すとともに、LRTの整備だけではなく、公共交通全体としてどうあるべきかを考えながら進めてきました。実際にバスも増便すること、また公共交通に対して市民一人当たりどれくらいの公的支出をするのかの議論などもしております。

 

これからの人口減少社会の中で、コンパクトシティや公共交通のあり方について考えていかなければいけないと思っており、その中で、コンパクトシティやLRTの事例として海外のストラスブールのまちづくりにも興味がありましたので、今回の講演会にも参加しました。

 

参加した感想としては、LRTの整備というのは個人としても枚方市でも実現すればいいなという思いはありますが、道路の幅の関係など非常に現実的には高いハードルがあると思っています。

 

しかしながら、公共交通のあり方、さらには、市民生活のあり方を考えていく中で、各種交通手段(LRT、BRT、デマンド交通)の中から、どう選んでいくか、また、市民の交通手段の確保に対してどれくらい公的資金を入れていくか、といった議論を今後深めていく必要があると感じました。

 

高齢者の免許返納あたりもセットに考えていく必要がありますね。免許返納しようという気はあっても足が確保されていなかったら自家用車乗るしかありませんからね。

 

考え方については大変参考になりました。この場を開いていただきましてありがとうございます。

 

講演の内容。

講演会内容は以下の項目についてです。

 

  1. 過度な車社会から公共交通を選択できる都市に
  2. バスも150便増やす
  3. LRT沿線の低炭素まちづくり
  4. LRT車両選定とデザインの決定
  5. 片方向から行政と市民双方向の取り組みへ
  6. JR宇都宮駅西側への延伸と今後の展開

 

1.過度な車社会から公共交通を選択できる都市に

交通分担率

何で移動するか、の時に宇都宮市は車が70%
枚方市は28.8%(コチラの資料より。H22年度ベース)
過度に車に依存すると何が良くないのか??
車の分担率が低いと中心市街地の地価が上がる。
車の分担率が高いと中心市街地の空洞化が進み地価が下がる。

健康にも良くない???
栃木県は肥満度で全国ワースト3位

公共交通全体を見直す中で、LRTも整備
ネットワーク型コンパクトシティ。

郊外部ではデマンドバスを走らせている。黒字ではない。毎年1億円程度支出。
コストは1500円かかり、運賃は300円いただく。1回あたり1200円市が負担している計算。

LRTの路線は、工業団地、ニュータウンの中を通る。

事業概要。

  • 開業時期:2022年
  • 延長:14.6km
  • 駅数:19駅
  • 車両編成:17編成
  • 運営方式:公設型上下分離方式
    事業主体(上):宇都宮ライトレール株式会社
    事業主体(下):宇都宮市、芳賀町
  • 総事業費458億円
    宇都宮市部分412億
    芳賀町部分46億
  • 運賃:初乗り150円~400円
  • 需要予測
    平日1.6万人
    休日5600人
  • 平成5年から話が始まり、25年かけてLRT構想が実現

2.バスも150便増やす

LRTだけやると、沿線以外の住民は興味がないので、バスも増便。

まちなかにたくさん走っているバスの一部を郊外に。
郊外は2時間に一便程度だったものを30分に一便に。

最初、バス会社は反対。
LRT導入するとバスは存続不可能、と。

しかし、バスとLRTは敵ではないので、協業していくために話し合い。
LRTをメインにして、バスが支線を走るという考え方で、150便増やす。
時間も早く、料金も安く、というのを検討中。

バス事業者も参画して新会社を設立。
行政で51%民間事業者が49%そのうち、地元のバス会社である関東自動車株式会社が10%、東武鉄道が4%

鉄道、車両は行政が管理、
運営、人件費は新会社が管理。

3.LRT沿線の低炭素まちづくり

乗り換えの場所を作る。トランジットセンター。

工場間で一体的に省エネ事業をやる。

LRTに合わせて地域新電力会社の設立。
収益を二次交通の運行に充当(EVバス走らせるなど)

自治体シュタットベルゲっぽいことを考えておられます。

4.LRT車両選定とデザインの決定

デザインは3案で投票。

車両定員160人座席は50人
車両の長さは29.52m
全ての扉にICカードリーダを設けて車内移動しないようにする。

5.片方向から行政と市民双方向の取り組みへ

市民の方から出てきた意見に随時回答していった。

運賃は高くなる??

バスとの乗り継ぎでも安くなるように上限運賃を考えている。

LRTの駅まで行く方法がない??

支線バスを増便するなどLRTの駅を拠点にする。

渋滞して大変?

渋滞しないように並行して周辺の道路ネットワークの整備もする。道路拡幅もする。
負荷が大きい交差点では立体交差。

赤字垂れ流し?

黒字の見込み。

そもそも公共交通の予算はどれくらいが適正か??

平均値4241円/人 中央値1512円/人(国交省調査P79に回答のあった1200自治体の結果)
宇都宮市ついては現状一人当たり300円くらい。
なのでもうちょっと出してもいい。
LRTを入れても1200円とかになる。

 

※上記の調査では枚方市単独の数字は見つからなかったのですが、大阪府の平均値は 1,185円、中央値が405円、最頻値が0-500円でした。

小さいバスをたくさん走らせたらいいのではないか?

デマンドバスは一人当たり560円~110円
LRTは一人当たり60~170円

LRTの方が効率がいい。

お客さん少ないところはバス、多いところはLRT、組み合わせが大事。

なぜ賛成してくれないのか?

公共交通をほとんど利用しない人が8割超。

沿線の自治会の人に富山のLRTの見学会も。

常設展示、オープンハウスの開設。
来場者数(H31.4.30)15700人

市民向け説明会の開催。市内39連合自治会全てで実施。約2,000人参加。
LRTだけじゃなくてバスの話も。

都市整備と福祉と交通の職員が一緒に説明に。地域包括ケアの話もセットで。

6.JR宇都宮駅西側への延伸と今後の展開

交通結節点の整備。
LRT沿線にパークアンドライドの拠点。芳賀町を含めて4か所くらい。

停留所に自転車の駐輪所も作り、電停の近くのコンビニにトイレやイートインコーナー

ストラスブールのようにLRTと一体となったシンボル的な空間の整備。
運転手の採用養成は国内の軌道事業者の協力を得ながら進めている。

宇都宮が目指すまちとは(LRTが目的ではない)

自動車だけが便利な交通ではなく、徒歩、自転車、公共交通も便利な街
公共交通も移動の選択肢として考えられるまち
徒歩か自転車で概ね用が足せるまち
地域内交通でも、概ね用が足せるまち
飲み会がある日など、週1回くらいは車でなく公共交通で通勤できるまち
地域内交通と路線バスを乗り継いでまちなかに行けるまち

LRTの沿線だけではなく、宇都宮市全体をこんな街にする。そのためのLRT。バスや地域交通も整備する。

どういうまちづくりにするか。バスはどうするかLRTはどうするか。という全体の視点から考えていく。

 

 

 

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枚方市議会議員
木村 亮太
民間企業を経て2011年より枚方市議会議員。政治スタンスは未来に責任を持った政治。主な政策は行財政改革、人事給与制度改革、教育子育ての充実、持続可能な社会保障制度改革、ICTを活用したまちづくり。
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