憲法・法律、時代に即して名誉市民条例の中身が改正。
今日は3月定例月議会初日でした。名誉市民条例の改正がありました。
様々な議案が審議されたのですが、その中で木村のトピックを取り上げます。タイトルにもしている名誉市民条例についてです。
概要
名誉市民条例が改正され憲法・法律・時代に即していない部分が削除されました。
私たちの会派としてはこれまで議会で取り上げてまいりました。今後は名誉市民の称号が贈られる方が出てくるかもしれません。
名誉市民条例とは何か、名誉市民は誰か、何が問題だったのか、どう変わったのか、などについてブログにまとめております。
名誉市民条例とは
枚方市の政治、経済、学術その他広く社会文化の進展に貢献した方に贈られる称号です。議会の同意が必要。亡くなった方も名誉市民になります。式典参加、施設使用、年金、市葬などの待遇・特典があります。
こちらが条文です。
- 第1条 この条例は、市民又は市に特に縁故の深い者で、政治、経済、学術その他広く社会文化の進展に貢献し、著しくその功績があつたものに対し、枚方市名誉市民(以下「名誉市民」という。)の称号を贈り、我が郷土「ひらかた」の誇りとして、永くその功績をたたえることを目的とする。
- 第2条 名誉市民の称号は、市長が議会の同意を得て贈るものとする。
2 前項の称号は、故人に対しても贈ることができる。この場合においては、同項の規定を準用する。 - 第3条 名誉市民の氏名及び功績は、広報等で顕彰する。
- 第4条 市長は、名誉市民の称号を贈られた者に対して、必要に応じ、次の待遇及び特典を与えることができる。
(1) 市の行う公の式典への参列
(2) 市の施設の使用に関する特典
(3) 年額200,000円以内の名誉市民年金の給付
(4) 相当の礼をもつてする弔意の表意又は市の経費をもつて市が主として行う葬儀
(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める待遇及び特典 - 第5条 この条例の施行に関し、必要な事項は、市長が規則で別に定める。
名誉市民一覧
ちなみにこれまで名誉市民となっている方は13人で、
以下の通りです。お名前、称誉理由の順で記載しています。
- 中村徳次郎氏
100歳以上の長寿者 - 西村たき氏
100歳以上の長寿者 - 田中太介氏
庁舎竣工記念等に寄付 - 北山小治氏
元樟葉村村長、元市議 - 三木喜三郎氏
元山田村村長、元枚方町会議員 - 寺嶋宗一郎氏
元市長 - 畠山晴文氏
元市長 - 水川清一氏
元大阪音楽大学学長 - 田中興哉氏
元枚方市社会福祉協議会会長 - 長山泰政氏
元枚方体育協会会長、元近畿大学法学部教授 - 西本そとの氏
枚方市母子福祉会会長、府母子寡婦福祉連合会理事長 - 森繁久彌氏
俳優、日本俳優連合理事長 - 北牧一雄氏
元市長
有名なのは森繁久彌氏だと思います。それ以外には元市長、元市議・町議や、100歳になった人などにも贈られていました。今でこそ100歳以上の方はたくさんおられますが当時はすごいことだったのだと思います。
市長経験者で名誉市民になっていないのは、山村氏、大塩氏、中司氏、竹内氏です。
これまでの条例の何が問題だったのか、どう変わったのか。
改正前と改正後
まずはbefore/afterについて議案書をご覧ください。
こんな感じで第3条以降が全て削除されました。
何が問題だったのか。
日本国憲法の第14条3項には「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も、ともなわない。」
また、地方自治法には、「普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。」とされており、それらを受けて、
- 第3条 名誉市民の氏名及び功績は、広報等で顕彰する。
- 第4条 市長は、名誉市民の称号を贈られた者に対して、必要に応じ、次の待遇及び特典を与えることができる。
(1) 市の行う公の式典への参列
(2) 市の施設の使用に関する特典
(3) 年額200,000円以内の名誉市民年金の給付
(4) 相当の礼をもつてする弔意の表意又は市の経費をもつて市が主として行う葬儀
(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める待遇及び特典 - 第5条 この条例の施行に関し、必要な事項は、市長が規則で別に定める。
これら3~5条が削除されました。
2018年12月池上議員の指摘事項(それ以前にも指摘していました)
以前から私たちの会派の池上議員が名誉市民の特典について疑問を呈しておりました。
【質問】
「枚方市名誉市民条例等の条文の整理について」お尋ねします。
まず、枚方市名誉市民条例についてですが、日本国憲法の第14条3項には「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も、ともなわない。」と明記されております。
しかし、枚方市の名誉市民条例第4条には、市長は、名誉市民の称号を贈られたものに対して、次の待遇及び特典を与えることが出来る。」として以下具体的に列挙されております。
その第1号では「市の行う公の式典への参列」、第2号には「市の施設の使用に対する特典」、第3号では「年額20万円以内の名誉市民年金の給付」、第4号では「相当の礼をもってする弔意の表意、または市の経費をもって市が主として行う葬儀」、さらに第5号では「その他市長が必要と認める待遇及び特典」となっており、条例自体が憲法違反ではないかとの疑義があります。
この件に関しては、6年前になりますが、平成24年第3回定例会において、国の叙勲制度や憲法解釈も含めて質疑をさせていただき、当時の長沢総務部長から、「名誉市民年金を含めた待遇や特典につきましては、条例制定時の趣旨や法的観点等も含めまして、今日的状況に即しているかどうか、必要な検証を深める。」との答弁をいただいております。
しかしながら、市の例規集を見ましても、昭和59年以降改正は行われていません。
そこで、枚方市の条例によって、名誉市民に付与される「特別な待遇及び特典」については、市として、現在どのような見解をお持ちなのか、これは、長沢副市長にお尋ねいたします。
【答弁】
名誉市民条例と憲法の関係につきましては、名誉市民に対し、その功績を顕彰するにふさわしい礼をもって遇するものである限り、憲法の規定の趣旨に反しないとの見解が、昭和32年に、国から出されております。
しかしながら、「その功績を顕彰するにふさわしい」が意味するところは、時代によって異なるものと認識しておりますので、今日的状況に即した内容となるよう、必要な見直しを行ってまいります。
【意見要望】
次に「名誉市民条例等の条文の整理について」ですが、
ただいま、副市長から、名誉市民になられた方に対する待遇につき、「今日的状況に即した内容となるよう必要な見直しを行う。」旨の答弁をいただきました。
早急な対応をお願いしたいと思います。
また、副市長の答弁において、「その功績を顕彰するにふさわしい」が意味するところは、時代によって異なるという認識が示されました。このように、文字で表された文章は、解釈に幅が生じ、その見直しが定期的に行われなければ、どんどん時代から乖離していくのではないかと思います。
このような観点で改めて例規集を見せていただきますと、「当分の間」、「市長が認める」といった、結局、「解釈、運用しだい」という用語例も数多く出てまいります。
条例をはじめ、市が作成する文書は、市民にとって明確でわかりやすいものでなければなりません。条例等においては、その表現が難解なものとならざるを得ないということは、一定理解はいたしますが、名誉市民条例のように時代に即していないものもあるわけで、
例えば、「当分の間」は、「何年度までの間」などと具体的に定めた上で、定期的に条文の見直しを行い、その解釈、運用を整理する取組みが必要です。
当然のことながら、条例はその制定、廃止、改正に議会の同意が必要となります、それは、言い換えれば「市民合意」であります。
「解釈・運用しだい」とされる文言を、条文の中に散りばめることによって、その条文が骨抜きにされる場合もあり、「既得権の温床」となる事例も発生します。
今回は、要望にとどめさせていただきますが、検証、再点検を強く求めておきます。
まとめ
このように憲法・法律との整合性や今日的な状況に即した形に条例が改正され、特典などについての記載がすべてなくなりました。
細かい話ですが時代にそぐわないものは徐々に変えていかなければなりません。
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枚方市議会議員
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