渋谷区の新庁舎整備の取り組みを視察。
河北市議会議長会の先進都市視察2日目です。
1日目は公共施設マネジメントの先進自治体の秦野市でした。
1日目の夜に河北市議会議長会を実施し、2日目の渋谷区の新庁舎整備の視察です。
概要
- 渋谷区が2011年の東日本大震災で被災して、大規模改修か建て替えか検討した。
- 民間提案を募ったところ5案あったが区の負担がゼロもしくは著しく少ない金額で建て替えができることがわかった。
- 5つの中から案を選び建て替えを実施。
- 2019年1月に新庁舎開庁。今後、2019年11月に新公会堂が開館。マンションは2021年1月入居予定。
背景
2011年の東日本大震災が影響。渋谷区で震度5の揺れ。
区役所とその横の公会堂は東京オリンピックの時に建てられて、公会堂は東京オリンピックの重量挙げの会場にもなった場所。築48年が経過していた。耐震補強は10年ほど前から実施していたが被災した部分を改修するか、このタイミングで建て替えをするかを検討したとのことです。
事業スキーム
当時の渋谷区には新しい区役所や公会堂を建て替えるための基金(貯金)も無かったため、2012年12月に「工期が短く渋谷区の財政負担が最小限であること」を柱に民間の事業者から建て替えの案を募集されたとのこと。
5つの案が提案されたが、1つの案は旧区役所の解体費用の5億円だけの負担で、それ以外の4案はすべて区の財政負担はゼロでした。
敷地12000平米のうち、4500平米を70年の定期借地権を設定する対価(211億円)があったので事業費ゼロ。
敷地をこのようにわけます。
黄色の部分が民間のマンションが建つ場所。このマンションの敷地を70年間貸して、マンションの売却益で建て替え費用(211億円)を捻出しているという形になります。
建て替えにあたり、区の負担ゼロといっていますが、ICT関係のLAN等とサイン、ブラインド等については渋谷区が負担しています。
また、仮庁舎の費用やICT関連のシステム更新、インフラ構築の別途30億。初度調弁30億については区のお金を使っています。
ちなみに横にできるマンションについては公式ホームページがありますので詳しくはそちらをご覧ください。
予定販売価格帯が8000万円台~39000万円台、間取りが1LDK~3LDK、専有面積が40.90㎡~143.42㎡ということなので、ざっくりで言うと
70年間の定期借地権で別途地代もかかって、1LDKの40㎡で8000万円、3LDKの143㎡が3.9億円ということですね・・・。
以前にも豊島区(池袋などがある区)の新庁舎の視察に行ったことがあります。豊島区も土地を定期借地権に出す、(つまり土地をレンタルし、その収入で区役所を建てた)豊島区の場合は、区役所とマンションが1つの建物になっていました。渋谷区の場合は、区役所とマンションが別々の建物になっています。定期借地権の期限が終わった時の対応を考えると別棟の方が良いと思います。
スケジュール
建て替え完了までがとにかく早いですね。
東日本大震災が起きたのが2011年平成23年ですので、その翌年から動きだして、その6年後には新庁舎ができています。新庁舎、公会堂、マンションという3つの建物を建築するにあたり、新庁舎を最優先にしたとはいえ早いです。財政のめどがたっているとこれだけ早く進めることができかと驚きますね。
枚方市は以前から新庁舎整備構想(および駅前再整備ビジョン)はずっとありますが、現段階の予定で最短でも10年後程度。
まとめ
羨ましい限りです。
渋谷区についてはスピード感もあって素晴らしい取り組みだと思う反面、地価という条件が違いすぎるも事実です。
渋谷区は庁舎の土地の価値が非常に高く。区の負担ゼロで建て替えができたという話です。渋谷区の庁舎は渋谷駅から徒歩8分程度の好立地です。隣は代々木公園。
枚方市も駅前再整備・新庁舎整備にあたり、駅前にある市の土地を活用(売却もしくは貸す)を考え、財政負担の低減を目指していますが、さすがに負担ゼロというわけにはいきません。地価の違いですね・・・。
左から大東市議会の中村副議長、四條畷市議会の渡辺議長、木村
全員四條畷高校出身です。
新庁舎の外観。
新しい公会堂の外観。
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枚方市議会議員
木村亮太(きむらりょうた)ご連絡はこちらにお寄せください。
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