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人口減少の足音が。

先日、国勢調査の速報値がでて、都道府県単位で言うと、人口が増加しているのは東京都と沖縄県だけという状況になっています。

首都圏の中でも千葉県、神奈川県、埼玉県でも、3大都市圏の中心である大阪府や愛知県も人口減少が進行しており、本格的に人口減少時代に突入していると言わざるを得ないなと感じています。

 

※市区町村単位でみれば、神奈川、千葉、埼玉、大阪、愛知の中でも人口が増えている自治体もあります。

 

そういった中で、最近の国や自治体の動きを見ていると、いよいよ具体的な制度や事業の見直しという形で、その影響が出始めているように感じます。

最近気になった事例をいくつか紹介します。

下水道は整備済み区域も含めて見直しへ

【内容】

国土交通省、総務省、農林水産省、環境省の4省が、人口減少や自治体職員の減少、施設の老朽化を踏まえ、汚水処理施設の最適化に向けた検討を進めています。

下水道などの集約型施設と、浄化槽などの分散型施設の役割分担を見直し、自治体間の広域連携も進める方針です。

特に注目したいのは、これから整備する区域だけでなく、すでに整備されている区域も検討対象になっていることです。

【つまり】

これまで整備してきた下水道を、今後も同じ形で維持し続けることができるのかという話です。

人口が減って利用者が少なくなっても、下水道管や処理施設の維持管理・更新には費用がかかります。

維持コストを賄うために下水道使用料を引き上げるのか、整備区域や施設のあり方を見直すのか。いずれにしても市民負担への影響が考えられます。

まだ国の検討段階ではありますが、既存インフラの維持そのものが見直しの対象になり得るというのは、なかなか大きな話だと思います。

出典:国土交通省「汚水処理施設の最適化と広域連携の推進」

緊急性のない救急搬送で7,700円の徴収

【内容】

長崎市内の長崎大学病院、長崎みなとメディカルセンター、長崎原爆病院の3病院では、2026年7月から、救急車を呼んだ際に緊急性が認められない場合、7,700円の選定療養費を徴収する取り組みを始めました。

救急搬送が増加する中、救急医療のひっ迫を防ぎ、重症患者への対応を確保することが目的です。

同様の取り組みは茨城県や三重県松阪市でも導入されています。

【つまり】

救急医療という限られた資源を維持するために、これまでの利用のあり方を見直そうということです。正確には救急車そのものの有料化ではありませんが、緊急性のない利用については費用負担が発生する仕組みです。

これまでも多くの自治体で救急車の適正利用を呼びかけてきましたが、具体的な費用負担を求める動きが出てきています。

一方で、緊急性の線引きは難しいところです。必要な人が利用をためらうことがないようにする必要もあります。

出典:長崎市「救急搬送における選定療養費について」

川崎市が財政状況の公表を年2回から年1回へ

【内容】

川崎市では、これまで年2回行ってきた財政状況の公表を年1回に見直すため、条例改正に向けた手続きを進めています。

国が地方公共団体の財政に関する公表事務を合理化するために法改正したことを受けたものです。

川崎市では2026年10月14日から11月16日まで、市民からの意見を募集しています。

【つまり】

これまで当たり前のように行ってきた行政内部の事務についても、見直しが進み始めているということです。

行政サービスの見直しだけでなく、行政自身の業務負担をどう減らすかという話です。

もちろん情報公開は重要ですが、職員の確保が難しくなる中、これまでやってきた業務をすべて同じ形で続ける必要があるのか。

こうした細かな業務の見直しも、今後ますます増えていくのではないでしょうか。

出典:川崎市「財政事情の作成及び公表に関する条例の一部改正」

河川の維持管理に民間の力を活用

【内容】

愛媛県では、河川に堆積した土砂を撤去する「民活河床掘削推進事業」を進めています。

河川の砂利採取を認める代わりに、民間企業に河床の掘削を担ってもらう仕組みです。

民間企業は採取した砂利をコンクリートの材料などとして活用でき、行政は河川の維持管理費用を抑えることができます。

2026年10月には、西条市の中山川で最大約5,000立方メートルの土砂を対象とした事業者の公募も行われました。

この事業自体は2005年度から実施されているものですが、今後のインフラ維持管理を考える上で参考になる取り組みです。

【つまり】

行政が費用を負担して実施してきたインフラの維持管理についても、民間企業にメリットがある仕組みをつくることで、行政の負担を減らしていこうということです。

人口が減ったからといって、河川や道路などのインフラを簡単になくすことはできません。

一方で、それらを維持していく財源も人員も限られていきます。

行政がすべてを担うのではなく、民間の力をどう活用するかという視点も、これからますます重要になると思います。

出典:愛媛県「民活河床掘削推進事業の実施について」

まとめ

今回紹介した4つの事例は、それぞれ分野も背景も異なります。

すべてが人口減少を直接の原因とするものではありませんが、人口減少や人手不足、財政制約などを踏まえ、行政のあり方を見直していく動きという点では共通しています。

これまでは、行政サービスをどう充実させるか、新しい施設やインフラをどう整備するかという議論が多かったと思います。これからは、それに加えて、何を維持し、何を見直し、何をやめていくのか。 そうした議論が避けられなくなっていきます。

すべてを今までどおり維持することも難しくなっていくでしょう。

人口減少の影響が、少しずつ具体的な制度や行政サービスの見直しという形で表れてきています。

こうした動きは、これからさらに増えていくのだと思います。

 

その中で、どのようにかじ取りをしていくか。ますます問われてくる時代ですし、首長、職員、議会、市民、企業がともに考えともに行動していく必要があるなと感じます。

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