観光交流施設、寄付をする側と受ける側に同一人物がいることが市として問題がないのか?(外形的公正性・利益相反)
一般質問の内容です。1の観光交流施設についてです。
以前にも議会で取り上げた件です。
ご寄付頂いた2億円、行政手続きがイレギュラーでは?ただ「お金をもらったから建てる」という安直な進め方にならないようにお願いします。
質問の概要
三矢町にある幼児療育園の跡地活用について市として議論をしています。
その中で、2億円の寄付がありました。
- 寄附をいただいたことは大変ありがたいが、建物は建ててからもお金がかかる
- 市としては公共施設の延べ床面積を縮減の方向性を示している(公共施設マネジメント推進計画)
- そういう状況の中で観光施設が本当に必要か
- にもかかわらず、「お金をもらったので建てる」と進めています。美術館の時と構図は同じと認識しています。
- お金の入金は11月12日。寄付がある場合はこれまでは「〇〇基金」というのを作り、そこにお金を入れている。
- 今回は「○○基金」の話がまとまらず、「とりあえずで財政調整基金」に入れている
- 手続きとしてもイレギュラーであり拙速
- 本当に建てるかどうか、建てるにしても費用がもらった2億円以上かからない方法を考えてほしい
といったことをこれまでの議会で質問してきました。
今回は、
- 2億円の寄付はとある財団法人から。その財団には市の部長が理事として就任している
- その部長は観光分野を担当している部長
- 寄附をする側にも寄附を受ける側にも同一人物がいることが問題はないのか
ということについて確認しました。
市としては問題ないということですが、このような状況で市としても公正な議論を進めていくことができるのでしょうか。外形的公正性の観点や利益相反の観点から再度検証していただきたいです。
外形的公正性とは
大阪府は事業実施にあたって外形的公正性の確保という視点を取り入れております。
府の資料の説明によると、
外形的公正性とは、
契約手続きなどの特定の意思決定等において、
その過程が納税者である府民の目から見て(外形的)、
恣意的に行われていると疑念を生じさせることのない(公正性)、手続きを経ること。
そしてチェックポイントには以下の項目があります。
- 意思決定手続きが明らかにされているか
- 意思決定関与者と意思決定により利益を受ける者との間に特定の利害関係はないか
- 意思決定関与者の選定を行う者がその意思決定により利益を受ける者との間に特定の利害関係はないか
があります。
今回の件は特定の利害関係ではなく同一人物です。
利益相反
一方が利益を得るときに、もう一方は不利益を得ること
職務を行う地位にある人物が立場上追求すべき利益・目的(利害関心)と、その人物が他にも有している立場や個人としての利益(利害関心)とが、競合ないしは相反している状態をいう。
利益相反行為は法令上、規制対象となるものもあれば、法令上は規制対象となっていない場合でも、倫理上の問題となる場合があります。
今回は寄附を受ける市役所の部長と、寄附をする財団の理事とが、同一人物であることで、不適切な状況を引き起こしているのではないでしょうか。
建替えありきの寄付の話が財団側で先行してしまい、市内部で、組織の中で療育園跡地の活用のためのフラットな議論ができなくなってしまったのではないか?と心配しています。
市政に混乱を招いた美術館の時にならないといいのですが。
美術館についてまとめていた当時のブログです。↓
https://ameblo.jp/kimura-ryota/theme-10082310491.html
質問の詳細
【質問】
観光交流施設についてお伺いします。
私は3月議会にて、「枚方宿地区の活性化・賑わい創出のための指定寄附を11月に入金されたと聞いております。この間、市内部でどのようなことを議論し、どのように進めようとしているのか」と質問したところ、「整備する施設にどのような機能を持たせるかにとどまらず、その効果的な管理運営方法についても、公共施設マネジメント推進計画を踏まえ、十分に議論し検討していく考えです。」との答弁でした。その後、十分な議論をされてきたと思われますが、これまでの経過についてお伺いします。
【答弁】
観光交流施設のこれまでの経過についてお答えします。
3月議会以降、昨年度に「観光施策検討プロジェクトチーム」で調査した内容も踏まえながら、枚方宿地区の賑わい創出に向けた跡地活用を検討してまいりました。
その中で、イニシャルコスト・ランニングコストについては、市が負担することがないよう、指定寄附金の活用や管理運営にかかる民間活力の導入についても検討を行ってきました。
今後も、庁内で協議を図り、民間事業者へのヒアリングを行うなど、事業の実現可能性を調査するとともに、今年度に策定を予定している観光施策の方針とも整合を図りながら、進めてまいります。
【質問】
昨年11月に受けた「枚方宿地区の活性化・賑わい創出のための指定寄附」について改めてお伺いします。この寄附金は寄附に付された条件に基づいて市が法的義務を負う「負担附きの寄附」ではありません。
これまでの答弁で、市として観光交流施設の整備にかかる経費に活用する意向を示しています。寄附者の意向はあるかと思いますが、あえて法的観点からお伺いします。観光交流施設の整備以外に活用したとしても返還の義務はなく、問題はないと考えますが、市の見解をお伺いします。
【答弁】
今回の寄附は、負担付き寄附ではないため、将来において市の負担を伴う法的な義務が発生する寄附ではないと認識していますが、「旧療育園跡地で検討している観光交流施設の整備にかかる経費に活用していただきたい」との寄附者の意向をふまえて、受領したものです。
【質問】
これまで寄附金について「観光交流施設の整備にかかる経費に活用」との答弁をいただいておりますが、整備という言葉には、改修なども含まれるのか、そもそも寄附者が望む「整備」とは何をさしているのかお伺いします。
【答弁】
寄附者の意向としましては、建替えにかかる経費とお聞きしています。が、観光交流施設における必要な機能について改めて庁内協議を進めるとともに建て替えや改修、解体なども含め、効果的な寄付金の活用方法についても検討してまいります。
【質問】
寄付者の意向は建て替えですが、市としては建て替え以外にも改修や解体なども含めて検討していくということです。今回の寄附者は千清(ちせい)文化教育財団ですが、財団の役員に、市の職員が入っているかお伺いします。
【答弁】
令和2年6月の千清文化教育財団設立にあたり、私武田に理事就任の依頼があり、市の手続きを経て理事として着任しています。
なお、同財団は、枚方市を中心とする北大阪地域における文化、歴史、芸術、教育等の発展に寄与することを目的としており、コロナ禍という状況ではありますが、今年度に幾つかの文化教育事業の取り組みを予定され、公益財団法人への移行も目指しておられます。
【質問】
今回の寄附は、市の職員が理事として在籍している財団から、その部長の職務範囲内に使途が限定された指定寄附で枚方市へ寄附されています。このようなことは市として組織として問題ないのでしょうかお伺いします。
【答弁】
団体が寄附を行う場合には、理事会の合議による決定を経る等、一定の手続に沿って行う必要があるものと認識しております。また、本市が寄附を受けるに際しても、庁内的な意思決定を経て行うものであり、今回の寄附は、適正な手続に基づいて行われたものであると考えます。
【質問】
今回の寄付は適正な手続きに基づいて行われたものであるとのことです。
■外形的公正性という観点があります。
大阪府は事業実施にあたって外形的公正性の確保という視点を取り入れております。
府の資料の説明によると、
外形的公正性とは、
契約手続きなどの特定の意思決定等において、
その過程が納税者である府民の目から見て(外形的)、
恣意的に行われていると疑念を生じさせることのない(公正性)、手続きを経ること。
そしてチェックポイントの1つとして
○意思決定関与者と意思決定により利益を受ける者との間に特定の利害関係はないか
があります。
特定の利害関係というか、今回の件は完全に同一人物です。今回の件について外形的公正性の確保ができているか、という問題があります。
市としても再度、こういった視点からも問題がないのかということについては検証をしていただきたいと要望をいたします。
この寄附は「観光交流施設の整備にかかる経費に活用してもらいたい」との寄附者の意向が示され、昨年11月に受領されていますが、当時から寄附者の意向があるにも関わらず、現時点でも観光交流施設の整備方法は「建替え」や「改修」など、手法は決まっていないのかお伺いします。
【答弁】
旧幼児療育園跡地活用については、平成30年に地元まちづくり協議会等からの要望書を受け、幼児療育園の用途廃止した後、令和元年5月の公共施設マネジメント推進委員会において、観光交流拠点施設として活用する方向で検討することが確認されました。
令和元年12月と昨年8月に地元協議会等と意見交換を行い、財源確保策についても検討を進める中、昨年10月に現金寄附の申し込みがあり、11月に市に入金されました。
その後、担当部署において、寄付金の2億円はイニシャルコストに充当し、ランニングコストは市の財源に頼らないことを前提として、PPP手法によるDBO方式で設計・建設・管理運営を一体的に発注するなど、民間活力すなわち「稼ぐ力」が発揮できる仕組みを検討してきました。
今後、民間事業者へのヒアリングや庁内協議を重ね、最終的な整備方針を決定する考えです。
【質問】
私は昨年より、しっかりと市内部で議論を行い進めていただくようお願いしてきたところですが、未だ方向性が決定していないという事です。
また、療育園跡地については、観光交流施設として“検討”の段階であり、市内部では建替えとは決定していないにもかかわらず、寄附の使途が建て替えのみ限定されてしまっているようです。
■利益相反(りえきそうはん)という言葉があります。
一方が利益を得るときに、もう一方は不利益を得ること
職務を行う地位にある人物が立場上追求すべき利益・目的(利害関心)と、その人物が他にも有している立場や個人としての利益(利害関心)とが、競合ないしは相反している状態をいう。
利益相反行為は法令上、規制対象となるものもあれば、法令上は規制対象となっていない場合でも、倫理上の問題となる場合があります。
今回は寄附を受ける市役所の部長と、寄附をする財団の理事とが、同一人物であることで、不適切な様相を引き起こしているのではないでしょうか。
先ほどの答弁では、寄付者である財団と、市の重要なポストに同じ職員がいることは問題ないとの答弁でしたが、建替えありきの寄付の話が財団側で先行してしまい、市内部で、組織の中で療育園跡地の活用のためのフラットな議論ができなくなってしまったのではないか?と心配しているのですが、そのあたりの見解をお聞きします。
【答弁】
令和2年10月27日の公共施設マネジメント推進委員会において、観光交流施設については「必要最小限の修繕での活用」から「建て替えを含めた活用」に変更することを確認し、併せて建て替えの内容や今後の運営については、引き続き観光施策推進委員会で検討を行い、その結果を本委員会で報告することとなっております。
今後、観光施策推進委員会で検討を行い、方向性について公共施設マネジメント推進委員会に報告するなど、庁内協議を進めてまいります。
【意見要望】
寄付者の意向があったから建て替えを含めた活用に変更されたのだと思いますが、あくまでも市としては「建て替えも含めた」の状態です。寄付者の意向は建て替えのみに限定されているようです。市としては建て替えや改修、解体など、効果的な寄付金の活用方法を議論していくとのことでした。私は昨年より、庁内議論がされず進めてこられたことを問題と指摘してきましたが、この間においても、市内部での議論が進んでいないように感じます。
寄附に付された条件に基づいて市が法的義務を負う「負担附きの寄附」でもないにもかかわらず寄付者は使途が建て替えに限定している事。一方で市として建て替えが確定していない中で、建て替えありきの寄付を収受している事、
それは、(市・財団)どちらの立場にあるものはどちらの状況もわかる一方で、他のものはすべてを把握できない状況で進めてしまっているから生じている市としての、組織的な問題があるのではないでしょうか。
結果として庁内でも議論が定まっていないのに寄付を収受しているため特定目的基金を作らずに現時点では財政調整基金に積まれていること、など組織における手続き上に疑問が生じる点が多々あります。
2億円という高額の寄付は大変ありがたいことだと思っています。しかし、市にさしたる考えもなく、ただ、寄付していただけるからと話を進め、市政に混乱を招いた美術館の時のようにならないように、庁内での議論、議会との議論を重ねていただくよう要望します。
また公共施設マネジメントの観点からは、延床面積の増加抑制を基本としておりますので、真に必要な施設かどうか、また、真に必要となる施設について新設・増設をする場合であっても、複数施設の複合化による施設総量の最適化の観点や、民間活力を活用したより効率的・効果的な整備・運営を行うなど、トータルコストの縮減といった観点もしっかりと踏まえて、議論を進めていただきますよう要望いたします。