阪神淡路大震災から24年、想定を超える災害にどう向き合うか。 | 前枚方市議会議員 木村亮太
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阪神淡路大震災から24年、想定を超える災害にどう向き合うか。

今日は阪神淡路大震災から24年です。

去年の大阪北部地震とあわせて被災した経験から災害に強いまちづくりをしていかなければと改めて感じます。

昨日(1月16日)は枚方市議会議員研修会でした。できれば年度中(2018年5月~2019年4月)に2回程度は開催したいのですが、今年度は災害対応なども含めイレギュラー対応が多かったため、この1回のみになりそうです。その分とても中身のある研修だったと思います。

以前に参加した大阪府市議会議長会の総会後の研修で講演を議長とともに受け、この内容はぜひ枚方市議会のみんなにも聞いてほしいという議長の想いから今回の研修が実現しました。

前回の講演の内容はコチラ

テーマ
想定を超える災害にどう向かい合えばいいのか
~危機を主体的に備えるために~

講師
東京大学大学院情報学環 特任教授
群馬大学名誉教授片田敏孝氏

片田教授は東日本大震災の発災前に釜石で津波からの避難することの大事さを訴え続け、釜石の奇跡を導いた方です。

釜石の奇跡とは・・岩手県釜石市内の小中学校では、防災教育をずっと続けていたおかげで、全児童・生徒計約3千人が地震発生後に即座に避難し、生存率が99.8%だったという話です。

 

講師の片田教授と議長とパチリ

 

研修の内容の概要

想定を超える災害がこれからもどんどん起こりうる。行政任せの防災では災害に強いまちづくりは実現しない。主体的に自分の命は自分で守る!という意識がとても大事。議会の役割としては市民からの要望(避難所の充実や堤防の強化)などを行政に届けるとともに、一方で市民に対して災害に対しての主体性・我がごと感を持ってもらうようにコミュニケーションをしていくこと。そうは言っても、逃げる意識にならない、逃げられないということもあるが、他者との関わりの中で防災意識を高めていくというのが今後のヒント。

 

 

世界や日本の気候の状況

環太平洋で大型(M7以上)の地震が起こっている。何が起こるかわからない。どんなこともありうるんだという前提で臨んだほうがいい。

 

日本全国でも自然災害が多発した。

台風21号は観測記録を次々に塗り替えた。

上陸時の気圧が台風21号は950hpa。上陸前は915hpaだったのでこれでも勢力が弱まったほう。(※参考:室戸台風911hpa、伊勢湾台風929hpa)

 

なぜ豪雨災害が発生するのか?

海面温度の上昇が原因。

また図のように台風の発生する位置が日本に近くなっている。

日本の近くで台風が発生すると進路もおかしいし、長期間滞在する。北海道や東北にも台風がくるようになっている。従来台風が来なかった緯度が高い地域(北海道・東北)は大雨対策をあまりしていない。

 

 

西日本豪雨の真備町の件

ハザードマップには記載していたけど逃げ遅れた。
堤防ができて、我がごと感が薄れた。
過去の50cmの浸水が頭にあった。家の2階まで浸水するとは想像がつかなくなってしまっていた。

 

東日本大震災の件

東日本大震災の津波の件は想定を超える地域にまで津波が発生しました。

当初のハザードマップでは上のように記載がされていた。

 

実際に津波が来た範囲は上の通りで、ハザードマップの記載エリアよりも広かった。

ハザードマップでは津波が想定されておらず、実際に津波が来た地域で多くの方々が被害にあった。

真備町の件はハザードマップで記載されていたのにもかかわらず、避難が遅れて犠牲になった。東日本大震災の件はハザードマップで記載されている地域の多くの方々は避難し犠牲にならなかったが、想定以上の津波によりハザードマップに記載されていない地域の方々が犠牲になった。

ハザードマップはあくまでも過去からの想定でしかなく、想定外のことも起こりうるため記載がなくても、行政の情報をうのみにせず自分で判断し避難することも大事。

 

行政任せになってしまった背景は?

日本は災害大国であり防災大国。自然災害が多かったため、防災力を向上させてきた。

伊勢湾台風まで毎年数千人の死者・行方不明者が出ていた。あるべきところにあるべきものがなかった。堤防や斜面の処理。

そこで、昭和36年に災害対策基本法が制定され、防災対策が一気に進んだ。

この災害対策基本法には「行政に防災の責任がある」と記載がある。

それにより全部行政がやってくれるという意識になってしまった。

 

日本の防災の向かうべき方向性は

行政と市民の関係は今は行政が市民を守る立場、市民は行政に守られる立場になっている。また、避難勧告が遅れたり、避難所の運営で問題があると市民は行政を責め、行政は市民に責められるという立場。

しかし、このような行政まかせの防災では災害に強いまちづくりはできない。行政と市民が一体となって地域社会として自然災害に立ち向かう社会を構築していくことが大事。

 

 

なぜ市民は逃げないのか?逃げられないのか?

災害時の心理特性

正常化の偏見(自分は大丈夫と思ってしまう)

 

認知的不協和(わかっちゃいるけど逃げないことの理由を探す)

 

それ以外にも、人は人として逃げられない。

先ほどの心理的なものとあわせて、「逃げよう」と思っても、子どもが心配で逃げられない、倒壊した家屋の中に誰かが下敷きになって救出しようとしているうちに逃げ遅れた、といったことが起きてしまいます。

 

他者とのかかわりの中で

自分のことだけ考えると、まさかそんな津波が来ないだろうとか、自分はもう年齢的にも死んでもいいという意識も働き、避難する意識が低くなってしまいます。しかし、他者とのかかわりを考えていく中で避難行動への意識、防災意識の向上を高めていくのがいいのではないかという話が最後にありました。

例えば、

  • 親が心配するから避難しよう。
  • 孫が悲しむから避難しよう・逃げよう。

親子で災害が起こったらどうするか、をハザードマップや避難所情報も見ながらお話、どう行動するかの議論をされてはいかがでしょうか?

枚方市防災マップ

枚方市の避難所情報

枚方市の避難所(地図)

 

 

改めて、防災教育を実施することの重要さ、また、教育の内容も「ただただ危ないから避難すべきだ」ではなく「自分が避難しなかったら家族はどうする?」といった問いかけを交えながらの教育にしていくなど枚方市にとっても非常にヒントがたくさん詰まった研修であったと思います。

 

片田教授、お忙しい中、枚方までお越しいただき貴重な公演をしていただき本当にありがとうございます。

(群馬県桐生市から5時間ほどかけてお越しいただきました)

 

 

 

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枚方市議会議員
木村亮太(きむらりょうた)

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